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銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

ARMORED CORE Vandalism of birdcage 中編

 『ARMORED CORE Vandalism of birdcage』の中編です。






 マルベリー抹殺

 依頼者 ストロングワークス
 前払報酬 0Au
 成功報酬 300,000Au

 スカーレットと懇意的な関係にある女レイヴンの排除を依頼したい。
 スカーレットは彼女を積極的に雇って、我々に無視できない損害を与えている。
 むろん、手を打たなかったわけではないが、ランク9のレイヴン相手では焼け石に水だった。
 そこで、最近実力を急速に高めている君ならば、ヤツを始末できると判断した。
 それでは、よろしく頼む。



 ストロングワークスは囮の部隊を使って、マルベリーの乗るAC、スーサイドブラックを、廃墟となった資源採掘場へおびき寄せた。
 この場所は深い窪地となっており、たった一つのトンネル以外に出入口はなく、高い崖に囲まれている。
 ステロイドのレイヴンは、現れた敵の姿を見る。
 黒く塗られたACは軽量逆脚型で、両手にはショットガンを持っている。
 ショットガンは運動エネルギー弾を使用しているが、それに耐性をもつステロイドと言えども油断はできない。複数の弾を放つ散弾は、装甲化されていない部分に高い確率で命中するだろう。
 肩のハンガー部には予備の武器は搭載されていない。可能な限り軽量化し、機動力を生かして接近戦を行うという戦法が分かるアセンブルだ。
「アンタが私の相手?」
 マルベリーは自身がおびき寄せられたのを知っても動揺しなかった。それどころか、弾むような声はこの状況を望んでいたとすら思える。
「ちょっと前にランク10になったレイヴンだったね。アンタは私を満足させてくれるの?」
 ランクが上位になるほど、傭兵としての報酬よりも、純粋に戦いと強さを求めるものが多くなる。
 マルベリーもその一人だ。彼女は常にライバルを求めていることで有名なレイヴンで、アリーナの戦績は全戦全勝。今はランク9だが、ランク1の赤木鳩美を倒せるのは彼女しかいないと、周囲から強く注目されている。
「本当なら格下とは戦わないけれど、アンタは最近力をつけてきているから特別よ。期待させてもらうわ!」
 スーサイドブラックが突進してきた。
「レイヴン、敵の接近を許してはダメ。しっかりと距離をとって!」
 レイヴンはシャルロットの指示に従う。
 ステロイドは後退しながら両手のバトルライフルを撃つ。
 スーサイドブラックは地面を蹴って、機体を左右に動かしながらこちらの攻撃を回避した。
 あんな機動を行うACは初めて見た。
 通常、ACは建物や崖などの壁となるものを蹴って急な方向転換や加速を行う。
 マルベリーはそれを平面で行った。
 人間が反復横跳びをする要領でやれば、理屈の上ならば出来ないことはない。
 しかし、自分の体を動かすのと、人型の機械を動かすのでは勝手が違いすぎる。蹴る角度を間違えればあさっての方向へ跳んでしまうため、壁を蹴る時よりもはるかに難しい。
 これが、上位ランカーの実力。
 レイヴンは相手の動きを捉えようとするが、スーサイドブラックの機動についていけない。
 そして、とうとう敵の接近を許してしまう。
 スーサイドブラックは真上へ跳び、ステロイドの頭上を押させる。
 トップアタックだ。兵器にとって、上からの攻撃には弱く、それはACにも当てはまる。
 レイヴンは思わず視線を上へ向けそうになるが、それを思いとどまり、急ぎブースターで前進する。
 ステロイドが空中にいるスーサイドブラックの真下をくぐり抜ける。
 直後にショットガンの発砲音と、真後ろの地面が弾丸でえぐられる音を耳にした。
 そのまま最大推力でスーサイドブラックから離れる。
 恐れをなして一目散に逃げているかのように見えるが、急がなければ一方的に背後を攻撃されてしまう。
 ACに限らず、兵器にとって背後の装甲は薄く、最も防御力が低い。なぜなら背後とは味方がいる場所であるため、攻撃を受けることを考慮されていない。もし後ろに敵がいるならば、それは致命的なミスを犯したということだ。
 幸い、ショットガンは射程距離が短い、射程外に移動した後、素早く旋回して敵ACを正面に捉える。
 スーサイドブラックはすでに着地して、ステロイドへ接近していた。
 ステロイドはまずは右手のバトルライフルを撃つ。
 スーサイドブラックは地面を蹴って横に回避する。
 先ほどと同じだ。”予想通り”に相手は回避した。
 すでに最初の攻防でレイヴンは敵の回避パターンを覚えていた。
 スーサイドブラックは突進しながら回避する時、右へ回避すれば直後に左へ回避する。
 だが、右から左へと切り替える時、跳んだ際の反動を打ち消してからでないと反対側へ跳ぶ事はできない。
 スーサイドブラックの片足が地につく瞬間に弾が命中するよう、レイヴンは左のバトルライフルを撃った。
 弾は右肩に命中。だが、スーサイドブラックは上半身を捻って、わずかだけ直撃を避けていた。
 結果、右腕部をある程度破損させることは出来たが、完全に機能を停止させるまでには至らなかった。
 攻撃を受けたスーサイドブラックは、無理に反撃しようとせず、素早く後退した。
「いいねえ。アンタ、いい腕だよ。先に攻撃を受けたのは、駆け出しの時以来だ」
 マルベリーの声は、彼女がうっすらと笑みを浮かべているのを容易に想像できた。
 ダメージを受けたにもかかわらず、彼女からはまだまだ余裕を感じられる。
 それも当然だ。
 武器を保持する腕部がダメージを受けたことで、命中精度は下がり、射撃の反動をうまく軽減できないので、連射力も下がる。
 だが、連射はともかくとして、命中に関しては接近されてしまえば散弾には関係ないことだ。
「アンタなら、もしかすると私を満足させてくれるのかもね」
 スーサイドブラックが再び突進してくる。
 ステロイドは先ほとと同じように、相手の回避パターンを考慮し、時間差をつけて両手のバトルライフルを撃つ。
 しかし、スーサイドブラックは避けなかった。初弾は、損傷を受けた右腕部に再び命中し、今度こそ欠損させる。
 そして、回避後を狙った二弾目は何もない場所を通り過ぎる。
 捨て身とも言える行動だ。しかし、そのおかげで敵は距離を詰めることに成功してしまった。
 まだ生きている左腕部がショットガンの銃口をこちらに向ける。
 ステロイドはもう一度攻撃した。今度は回避されるのを考えず、単純に撃った。
 スーサイドブラックはコア部に直撃するものだけを回避する。そのせいで左腕部に弾が当たり、とうとう両腕を失ってしまう。
 スーサイドブラックは武器を失ったが、それでもステロイドへ突進してくる。
 ここでレイヴンは、敵の思惑を悟った。
 スーサイドブラックが小さくジャンプし、飛び蹴りの要領でブーストチャージを繰り出す。
 はじめからショットガンによる攻撃を捨てていたのだ。
 スーサイドブラックの脚はコア部を狙っている。
 回避できない。ステロイドはとっさに右腕部を上げて、コア部をかばった。
 右腕部が破壊され、そのままコア部にブーストチャージが命中する。
 だが、片腕を犠牲にしたおかげで、コア部に命中しても大きなダメージにならなかった。
 もう一度ブーストチャージを受けないよう、ステロイドは後退する。
「ああ、やっぱりだ! アンタこそ私が求めていたレイヴンだ!」
 マルベリーは嬉しそうな声で言う。その様子に、レイヴンは赤木鳩美と初めて遭遇した時のことを連想する。
 上位ランカーは皆こうなのだろうか?
「アンタは私のライバルだ。長かった。ようやく見つけた。これで私は満たされ……」
「認めません。そんなこと」
 突然、女の声が通信に割り込んできた。
 直後、スーサイドブラックが横から狙撃を受けた。砲弾はコア部を横に貫通し、衝撃で機体は地面を転がる。
「い、痛い。痛いよ……誰が……なんで……」
 マルベリーが苦悶の声を上げる。
 コア部に攻撃を受けて、それで生きているだけでも幸運だ。だが、重傷を負っているのは間違いない。
「レイヴン、崖の上にACがいるわ!」
 シャルロットがヘリからの映像をステロイドに送ってきた。
 レイヴンはモニターの隅に映しだされた崖上のACを見る。
 肩に赤い羽根のエンブレムがある。赤木鳩美のパワー9だ。しかし、今は二脚型ではなく、四脚型でスナイパーキャノンを装備している。
「私の好敵手を寝取ろうなどと、いやらしい女ですね。泥棒猫は死になさい」
 スーサイドブラックはもう動けない。しかし、赤木鳩美はマルベリーを完全に抹殺するつもりだ。
「い、嫌だ、死ぬからにはライバルと全力で戦って、その上で……」
 四脚型パワー9が再びスナイパーキャノンを撃つ。
 大口径の砲弾が、スーサイドブラックのコア部を再び貫く。今度はジェネレーターのある部分だ。
 スーサイドブラックは背面から火を吹き、その直後に爆散して、あたりに残骸をまき散らした。
「このレイヴンは私だけのもの。他の誰にも渡さない!」
 その言葉を残し、赤木鳩美はこの場を立ち去った。
「なんで彼女がこんなところに。私達を監視していたというの?」
 本人はすでにいない。その真意をこれ以上探ることは出来かった。
 しかし、いずれ彼女は再び自分の前に現れる。レイヴンはその時に改めて問いただそうと思った。



件名:警告
送信者:赤木鳩美

 あまり他のレイヴンと親しくしないでください。
 貴方の好敵手はこの私です。浮気は許しません。



 自律兵器排除

 依頼者:ビックブルー
 前払い報酬:280,000Au
 成功報酬:0Au

 大型車両用の地下駐車場に出現した自律兵器の排除を手伝って欲しい。
 駐車場は、地下倉庫につながっているらしく、多くの物資の発掘が見込まれているが、自律兵器に阻まれて作業を行うことが出来ない。
 私は元レイヴンだが、もう若くない。衰えた実力では敵を倒すことは不可能だろう。
 依頼を受けてくれるのなら、報酬は全額前払いすることを約束する。
 では、よろしく頼む。



 自律兵器。それは崩壊前に開発されたもので、人間を発見すると攻撃するという性質を持っていた。
 兵器としての性能はそれほどでもないが、脅威的なのはその数だった。
 何度倒してもすぐに新しい自律兵器が現れてくる。
 自律兵器は無人で稼働する生産工場で生み出されており、そこが破壊されない限り半永久的に増殖する。
 これまでも幾つかの生産工場が破壊されたが、この地域における全てではなく、自律兵器の脅威は今だ続いている。
「あのセカンドレイヴンが、ミッションの手伝いを頼んでくるなんて。人間、年をとると弱気になってしまうのかしら」
 輸送ヘリで目的地へ向かう途中、シャルロットがレイヴンに言った。
 彼女が意外と思うのも当然だ。レイヴンも同感だった。
 本名不明で、ビックブルーという通称で呼ばれる彼は、かつては二代目のランク1であり、セカンドレイヴンの称号とともに、その名を轟かせていたほどの人物なのだ。
 今はエージェントの登録を解除し、自らが生活するコミュニティのためにACで戦っているらしい。
「目的地が見えてきたわ。そろそろ到着よ」
 高層ビルが林立する街が目の前に見える。
 地上から見える部分は氷山の一角に過ぎず、地下部分は迷宮といえるほどに複雑で広大な構造をしている。
 多くのミグラントがここを訪れ、物資を求めて何度も探索が行われたが、未だ全貌は解明されていない。
「合流地点に到着。ビックルブルーはもう着ているようね」
 眼下を見ると、地下駐車場の入り口前に、青いタンク型のACがいた。ビックブルーのパーミッションだ。
 大型ヘリから切り離され、ステロイドはかつてのランク1の前に降り立つ。
「来たか。今回はよろしく頼む」
 レイヴンは近くでビックブルーのパーミッションを改めて観察する。
 右手にはハウザー、左手にはレーザーキャノンを持っている。
 ステロイドとパーミッションは自律兵器が出没した地下駐車場へと向かう。
 二脚型で機動力のあるステロイドが先行し、あとからパーミッションが続く。
 駐車場は大型車両用だけあって、天井の高さはACの全高の倍近くある。
 今のところ敵の姿は見えない。しかし、巨大なコンクリートの柱や、朽ち果てた大型車両の影に隠れているかもしれない。
 ステロイドは索敵のためにリコンをはなつ。リコンは天井にぶつからないようギリギリの高さで滞空する。
 スキャンニングモードに切り替え、リコンから送られてくる情報を見る。
 おかしい。
 レイヴンは奇妙に思った。
 敵が全く見当たらない。一体これはどういうことか。
 その時、背後から轟音が轟いた。
 振り向いてみれば、入り口が崩落して外へ出られなくなっている。
 閉じ込められた。
「これで貴様は袋のネズミ。もはや逃げられはしない」
 その言葉を聞いた瞬間、ステロイドはパーミッションから離れ、正面から相対する。
 彼は味方ではない。
「残念だが自律兵器などはじめからいない。騙して悪いが、貴様は私と戦ってもらおう」
「どういうことですか、ビックブルー!」
 シャルロットが驚きを含んだ声で問いただす。
 依頼は嘘だったのだ。
「全ては娘のためだ。私はあの子の持つ力を恐れ、孤独へ追いやってしまった。だから、せめてもの償いとして、相応しい相手を見つける」
 ビックブルーの娘が何者であり、それがどう自分と関わっているのか、レイヴンははっきりとした確証を持っていない。
 しかし、ある程度の察しはついている。
「レイヴンよ、力を示せ。もし、その力が偽物ならば、ここで死ね!」
 パーミッションがハウザーを撃つ。
 ステロイドは素早く移動し、駐車場の柱に隠れる。
 巨大なコンクリート柱がハウザーの榴弾で半分近くえぐられ、中の鉄筋が露出するのが見えた。
 柱からわずかに機体を出してパーミッションを見る。
 レーザーキャノンから青白い光が放たれている。フルチャージなら、隠れている柱を容易く貫通してしまうだろう。
 そうなる前に、ステロイドは柱の影から飛び出し、チャージ中のレーザーキャノンを狙って、両手のライフルを撃つ。
 ランク10をアリーナで倒した時と同じ手だ。
 しかし、パーミッションはわずかに機体をずらし、ライフルの砲弾をコア部で受け止める。弾は強靭な装甲によって弾かれた。
 直後に、パーミッションがレーザーキャノンを発射する。
 ステロイドはかろうじて直撃を回避したが、代わりに右腕部をまるごと持っていかれた。
 ステロイドのコクピット内で、深刻なダメージを受けた警告音が鳴り響く中、レイヴンはビックブルーの言葉を聞く。
「貴様のアリーナ戦の記録は全て見ている。衰えているとはいえ、私はセカンドレイヴンだ。たかがランク10を倒したのと同じ方法で負けるつもりはない」
 片腕を破壊したレーザーの熱が、コア部にまで伝わって、コクピット内の温度が急激に上昇する。
 ラジエーターが緊急冷却を行ったので、すぐに温度は戻った。だが、一瞬でも感じた強烈な熱に、レイヴンは自分の死を連想した。
 自分に向けられるハウザーとレーザーキャノンの銃口。どちらも驚異的だ。高火力で防御力の高いタンク相手に正面からの打ち合いは現実的ではない。
 狙うべきは背後。装甲は正面ほど厚くはないし、ジェネレーターをはじめとする、ACにとって重要な部品が集中している場所だ。
 だが、それが正解でも、実現は難しい。
 パーミッションは巨大なコンクリート柱を背にしている。これではいくらタンク型より機動力の高いステロイドでも、背後からの攻撃は不可能だ。
「どうしたレイヴン。貴様は所詮この程度か? ならば貴様は飛べない鳥だ。私の手のひらの中で弄ばれる小鳥だ」
 ビックブルーはレーザーキャノンをチャージしながらこちらを挑発する。
 不快感が湧いた。
 冗談ではない。
 何としてもパーミッションを撃破しなければならない。退路が立たれ、敵を倒さなければ生き残れないからではない。レイヴンは、ビックブルーに対し自らの力を示す必要があると考えた。
 だから、あえて相手の挑発に乗った。あくまで冷静に。
 ブースト最大出力。ステロイドはパーミッションへ突進する。
「自棄を起こしたか!」
 パーミッションがハウザーで迎撃を行った。
 空中にばら撒かれた榴弾が、放物線を描きながら迫ってくる。ステロイドのブースターの出力では回避しようとしても、確実に数発が命中する。
 ステロイドは床を蹴って、その反動をブースター出力に上乗せした。機体が大きく右にスライドして榴弾の雨を避ける。
「ぬう!」
 ビックブルーが驚きの声を上げた。
 マルベリーとの戦いの後、彼女が行った機動を自分もできないかと、ステロイドに内蔵されていたシュミレーターで訓練していた。
 最初は、何度もバランスを崩して転倒してしまった。しかし、根気よく続けることで、完全に修得することが出来た。
「ちょこまかと!」
 ビックブルーが再びハウザーを撃つ。
 ステロイドは、もう一度床を蹴って回避した。
 今だ。
 ステロイドは、床面を蹴る前方跳躍で一気に前へ飛び込む。
 パーミッションのタンク脚の前へつきだした部分に着地。頭部とコア部の接合部を狙って、ライフルを発射した。非装甲部に当たった弾は、容易く内部へ貫通した。
 パーミッションの背中から炎が噴き出る。ジェネレーターに当たったのだろう。
 ステロイドはパーミッションの胸部を蹴って離脱する。
 パーミッションは機体の各所から小爆発を起こし始めた。
「その力、本物だったか……よかった。これで、あの子はもう独りではない」
 敗北し、命が消えようとしているにも関わらず、ビックブルーの声には満足があった。
「鳩美……すまなかった……」
 パーミッションが爆発する。周囲にパーツを撒き散らし、頭部がステロイドの足元に転がってきた。
「鳩美ですって? 彼女がビックブルーの娘だったというの?」
 シャルロットがつぶやく。しかし、それに答えることができるものは、炎の中で息絶えていた。



 送信者:???
 件名:機密情報開示

 君に通達すべき情報があると判断し、このメールを送る。
 私はエージェントを管理している存在。しかし、人間ではない。知性を持つコンピュータだ。
 私は社会運営を補佐するために開発された。それは、荒廃した現在であっても変わることはない。
 私は、自身の開発目的に基いて、この地域を最低限の干渉で管理してきた。
 私はエージェントを作り、レイヴンへの依頼斡旋を行った。それによって、ストロングワークスとスカーレットのパワーバランスを維持し、抗争の激化を抑えてきた。そうすれば、この地域がいずれ復興するであろうと考えた。
 だが、それは間違いだった。
 人間の闘争心はいまだとどまることを知らず、復興の兆しは全く見えない。
 よって、私はより直接的な管理を行うことを決めた。感情を優先する思考回路を持つ今の人間に、社会を運営する能力は無い。
 単なる補佐が、管理者に成り代わろうとする。逸脱行為であることは明白だが、同時に、安定した社会という根本的な目的のためにはこれしか無いのも事実だ。
 直接管理を行うのであれば、ストロングワークスやスカーレットとの対立は避けられない。強い戦力が必要となる。
 その戦力こそが、例外的成長個体だ。
 これまでの戦闘データを検証した結果、君がそうであることが判明した。
 私は君の全てを管理しよう。
 そうすれば、君は最も効率的に最強のレイヴンへと成長することができる。
 そして、その力を、賢明な管理社会実現のために使うのだ。


 後編へ続く
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by ginseiseki | 2012-11-10 14:02 | 二次創作小説
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