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銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

東方&PSUクロスオーバー小説 最終話 Act1

 約8ヶ月におよんで当ブログに連載してきた東方Projectとファンタシースターユニバースのクロスオーバー小説も今回で最終話です。




出典元
SEGA『ファンタシースターユニバース』
上海アリス幻樂団『東方Project』

東方幻想惑星~キャストが幻想入り~
第8話 幻想は暗黒を打ち消す Act1



「よく来てくれたわ」
 八雲紫は一同を見渡す。
 SEEDとゲイリーに関わった者達は、彼女に呼ばれて博麗神社に集まっていた。
 ただ、全員ではない。命蓮寺は代表としてきている聖白蓮一人であり、SEEDに操られていたチルノと大妖精は、妖精には難しい話は分からないだろうと、呼ばれてはいない。
「貴方達に集まってもらったのは他でもないわ、SEEDとの戦いにおける作戦を伝えるためよ」
「作戦? 面倒臭いわね。出てきたSEEDをかたっぱしから退治すればよいだけのことじゃないの」
 博麗霊夢がいかにも面倒そうな表情で言う。
「大丈夫。作戦と言ってもたいしたことではないわ。ゲイリーの体にあったAフォトンリアクターを最大出力で稼働させて、SEEDをおびき寄せるだけよ」
 それは、もともと紫がゲイリーを連れてきた理由とあまり変わらない。違うのは、はっきりと幻想郷の者たちに連携を求めているという点だ。
「戦場は人里から離れた平原。白蓮と命蓮寺には万が一に備えて、人里の守りを任せるわ」
「私達が里の守りをするのは良いのですが、私たちだけでなく幻想郷にいる他の妖怪の方々にも協力を仰いだほうがよろしいのではないでしょうか?」
 白蓮の言うことは最もだった、博麗神社に集まっている者達以外にも、SEEDと戦えるだけの力を持った者は大勢いる。
「彼らには自分達の縄張りを守ってもらうことにしたわ。いくらAフォトンでおびき寄せようとしても、幻想郷にいるSEED全ては集まらないかもしれないからね。だから、この作戦は場所を変えてなんども行うわ」
 世界と言うにはあまりに狭い幻想郷であるが、そこに生活する者達にとっては非常に広い空間だ。
 例えリアクターを稼働させて、Aフォトンの波動を出したとしても、それを感知できる距離を超えた場所にいるSEEDはおびき寄せることは出来ない。
「それと、現れたSEEDを倒すことも重要だけれども、何より重要なのは、以前命蓮寺を襲ったヘルが・ノイマンと、彼女と共に幻想郷に潜んでいる、ダルク・ファキスの討伐よ」
「ダルク・ファキスも幻想郷にいるのか?」
 驚きの声を上げたのはゲイリー・スーだった。彼の様子から、ダルク・ファキスの名を初めて聞く者達は、SEEDの中でも別格の存在であることを察する。
「ええ、そうよ。私がSEED封印の綻びを修復する直前に、ヘルガ・ノイマンとやってきたわ。封印事態はすでに修復済みだから、ヘルがとダルク・ファキスさえ倒すことが出来れば、こちらは勝ったも同然よ」
「そのダルク・ファキスというのは一体どのような存在なのですか?」
 質問したのは射命丸文だ。新聞記者らしく、疑問点はすぐに尋ねる。
「ゲイリー、貴方の方が詳しいだろうから、皆に説明をお願いできるかしら」
「分かった」
 紫はゲイリーに説明を任せた。
「ダルク・ファキスは大型のSEEDだ。恐ろしいのは、HIVE化といって周囲の環境をSEEDの巣に作り替える能力だ」
「ふむふむ。ですが、幻想郷のどこかがSEEDの巣になったという話は聞きませんね」
 射命丸は新聞記者として幻想郷で起こった出来事を常に集めている。その彼女が知らないということは、SEEDの巣はまだ作られていないとういことだ。
「HIVE化には莫大なエネルギーが必要だ。それゆえにグラールで最も大きなエネルギーであるAフォトンがSEEDの餌となったんだ」
「なるほど、よくわかりました」
 射命丸はゲイリーから聞いた話をメモする。こんな時でも彼女は新聞記者だ。
「さて、ゲイリーの話から、ダルク・ファキスを倒すことの重要性を理解してもらえたわね。他に質問はないかしら? 無ければ話はこれでおしまいよ」
 その時、河城にとりは手を上げる。
「少しいいかな?」
「なにかしら」
「Aフォトンリアクターを囮に使うのはいいのだけれど、それだけのために利用するのは勿体無いと思うんだ。Aフォトンリアクターを使った武器を作れば、囮にもなるしSEEDとの戦いも楽になると思うよ」
「ふむ、確かに一理あるわね。ならば、Aフォトンリアクターの武器を作ってもらおうかしら」
 紫は隙間を使って、にとりにAフォトンリアクターを渡す。
「作る武器はゲイリー用のでいいよね? フォトンを使った武器は彼が一番得意だろうから」
 にとりの案に反対するものはいなかった。
「あまり時間は掛けたくないから、どんなに遅くとも一週間を超えないでほしいわ」
「四日もあれば十分だよ」
 にとりは紫の提示した期間よりも三日早く作れると言った。
 話が終わり、そのまま解散になると思われたが、赤木鳩美が酒樽を抱えながら博麗神社にやってきた。
「毎度ありがとうございます、赤木屋でございます」
「お! 来た来た」
 どうやら、鳩美に酒を注文したのは霧雨魔理沙のようだ。
「せっかく何人かで集まったんだからさ、ついでに宴会でもしようぜ」
 幻想郷の住民は多くが酒好きだ。反対する者などいるはずもなく、SEED対策の話し合いから一転して、宴会となった。
「ふふふ、こうなるだろうと思って私も食材を用意しておいたわ」
 紫が大人数の宴会に十分な食材をスキマからだしてきた。
 調理はメードの咲夜を中心として、霊夢や鳩美が作ることになり、他の者も下ごしらえなどの手伝いをした。
 鳩美は酒樽を三つも持ってきたのだが、妖怪たちは料理が出来上がることにはすでに一つ目を空にしていた。
「ちょ、ちょっと、やめてください、射命丸さん」
「いいじゃないの、せっかくの宴会なんだから」
 よってじゃれつく射命丸に犬走椛は困った表情を浮かべる。
「ふふふ、たまにはワイン以外のお酒も良いものね」
 数百年生きているとはいえ、姿が幼いレミリア・スカーレットがそのような事を言っても、子どもが背伸びをして大人のふりをしているようにしか見えない。だが、それをいちいち指摘するような無粋者はいなかった。
「よう、アリス。飲んでいるか?」
 酔いが回ってきて、頬を赤く染めた魔理沙が、アリス・マーガトロイドの隣に座ってきた。
「ええ、それなりに」
「しっかし、外界から誰かが迷いこむ事があっても、まさか異世界から誰かがやってくるなんて、少し前は考えもしなかったな」
 魔理沙はゲイリーを見ながらアリスに言った。
「そうね」
 少し離れたところで、ゲイリーは鳩美に酒を注いでもらっていた。
 初めて二人が出会った日は、ゲイリーが鳩美を攻撃するという騒動もあったが、今はそんな不穏な気配は二人の間にはない。
「なあ、アリス。お前はグラールに行ったんだろ? どんな場所だったんだ」
「そうね、私が行ったのはグラールで……」
 酒が入って今は気分が良い。気まぐれにこんなことをするのも一興だろう。そう思ったアリスは、魔理沙にグラールで見たものを話し始めた。

 幻想郷の文化レベルは外の世界と比べると一世紀近くの差があり、明治時代レベルのものだ。
 ただし、妖怪の持つ高度な技術によって、一部では外の世界よりも遥かに優れたものがある。
 妖怪の山の麓にある間欠泉地下センターも、そのひとつだ。ここでは核融合の研究が行われており、太陽の原理を模写した試作の核融合炉がある。
 ちなみに核融合の研究所なのに「間欠泉」と呼ばれているのは、核融合炉の熱をボイラーに利用しているからだ。
 幻想郷にエネルギー革命をもたらす試作の核融合炉。それは機械の球体であり、周囲の壁から伸びている、人の胴体はある極太のケーブルが接続されていた。
 その試作核融合炉の間に、大きな翼を生やした少女がいた。
 彼女は霊烏路空《れいうじ・うつほ》といい、この核融合炉の管理者だ。
 彼女は地獄鴉でありさらには太陽の使いとも言われる八咫烏の力をもその身に宿しており、その能力は『核融合を操る程度の能力』だ。
 それゆえに、核融合炉の管理者としては彼女以上の適任者はいなかった。
「あーあ。退屈だなぁ」
 何かの管理をするには幼い精神を持つ空だが、能力のおかげで外の世界の最先端科学でも困難な核融合のコントロールを、呼吸するかのように出来ていた。
「あら、そんなに退屈ならば、お姉さんと遊ばない?」
「うにゅ? だあれ?」
 いつの間にか、空の前に黒衣の女が立っていた。
「私はヘルガ。ヘルガ・ノイマン。偉大なる暗黒神復活のために、あなたには協力してもらうわ」

 翌日、一同は人里から遠く離れた草原に集まっていた。
「はい、ゲイリー。これが君のために作ったAフォトン武器、スーパーセイバーだよ」
 にとりがゲイリーに、鞘に収められた一振りのセイバーを手渡す。
 特徴的なのは柄頭からコードが伸びて、Aフォトンリアクターとつながっている点だ。
 スーパーセイバーを受け取ったゲイリーは、それを鞘から抜く。
 刀身は真っ赤な色をしている。塗料によるものではなく、素材そのものが持っている色だ。不思議な事にリアクターを作動させていないにもかかわらず、うっすらと輝いていた。触れてみると、発光しているのに熱を感じなかった。
「河城さん、この合金は?」
「それはヒヒイロカネだよ。どの合金よりも強度が高く、絶対に錆びないの。そして何よりも、凄まじいエネルギーの伝導率を誇るのが特徴だね」
 外界では単なる空想上の物質に過ぎないヒヒイロカネ。だが、幻想が現実であるこの世界には実在するのだ。
「ゲイリー、私からも渡すものがあるわ」
 咲夜が一枚のスペルカードを彼に手渡した。
「これは?」
「擬似スペルカード、混沌『カオスコントロール』よ、パチュリー様からあなたに渡すよう預かったの」
「なぜ俺に?」
「パチュリー様がいうには、そのスペルカードを使うには特別なエネルギーが必要なのだけれども、あなたの持っているAフォトンはそれと同じ性質を持っているそうよ。だから、このカードを使えるのはおそらくあなただけ。これなら、ヘルガが奪ったスペルカードに対抗できるわ」
 カオスコントロールはウィッチタイムと同様に、時間を操作して目にも止まらなぬ速さを使用者に与える。
 ゲイリーは受け取ったスペルカードをナノトランサーに収納した。
「準備はいい? リアクターの出力を最大にして頂戴」
 ゲイリーは腰のAフォトンリアクターを操作して、出力を最大にする。
 ヒヒイロカネで作られたスーパーセイバーの刀身がさら輝きを増す。もはや眩しいほどだ。
「みなさん、早速現れました。ここから北東十町(約一.一キロ)にある森から敵が来ます。数は三百!」
 千里眼を持つ椛が敵の出現を周囲の者達に伝達する。
「少し敵を間引くわ」
 紫は自分の前に複数の小さなスキマを呼び出し、そこに向かって紫色の針状光弾を発射する。
「これで、来る頃には半分以下になっているはずよ」
 紫と椛以外に敵の様子は分からないが、おそらくスキマを介して攻撃していることは分かった。
 敵が肉眼で確認できる距離まで接近する頃には、確かに椛が言っていたよりも数が減っており、中には負傷している者もいた。
「まだSEEDフォームはいないか……」
 ゲイリーが敵を見てつぶやく。現れたのはSEEDによって凶暴化させられたグラールの生物ばかりだ。
 目視できる距離になったので、紫以外も攻撃を開始する。幻想郷史上始めての集団戦の開始だ。
 少女たちの放つ色とりどりの光弾が、戦場を華やかに演出するものの、本人たちは華やかとは思わない。。
 戦場はあくまで戦場。相手はスペルカードルールの理屈の通らない敵なのだ。普段は遊び感覚で戦う彼女たちも、普段は見せない緊張感を持っていた。
「新しい敵を確認しました! 上からです!!」
 椛が敵の増援を察知する。
 空から数基のSEEDコアが降ってきた。着弾地点はすぐそばだ。
 SEEDコアを起点に、SEEDフォームたちが転送されてくる。
「コアを覆っているバリアーは私が無力化するわ。誰か迎撃して」
 紫が境界を操る程度の能力を使って、SEEDコアを守っている力を打ち消す。
 迎撃に当たるのは咲夜、椛、ゲイリーの接近戦が得意な三人だ。
 咲夜が時間を止めて大量の敵を仕留めるが、それでも一人では倒しきれない。椛とゲイリーは残った敵を倒す。
 しかし、敵を倒し続けていく内に、全員の間に違和感が生まれた。
 それなりの時間を戦っているが、一向にヘルガとダルク・ファキスが現れない。
 SEEDが喉から手が出るほど欲しがっているAフォトンリアクターが、ここにいるぞと声高に叫んでいるにもかかわらず、親玉が出てこない。
 もちろん、幻想郷中のSEEDが一度に集まるとは思えないので、この作戦は何度も行われる予定だが、ヘルガとダルク・ファキスが真っ先に現れないのは不自然だった。
 それどころか、最初の三百体と後から現れた数基のSEEDコア以外に、新しい敵が現れすらもしなかった。
 そして、とうとう敵は全滅した。
「これだけ? この程度の戦いじゃ、満たされるどころか更に飢えるだけよ」
 レミリアが心底不満そうにつぶやく。
「ちょっと紫、話が違うじゃないの」
 霊夢も紫に文句を言うが、彼女はそんなことを耳にせず一人で考え込んでいた。
「どういうこと? SEEDに取ってAフォトンはこれだけの戦力しか出さない程度の価値ではないはず……」
 その時、にとりが驚きの声を上げる。
「ええ?! 本当なの?!」
 彼女は自作の通信機を持って誰かと話をしていた。
「それで、今どうなっているの? え? なに? 聞こえないよ!?」
 通信状況が悪いらしく、にとりは相手の声が聞き取れないようだった。
「駄目だ……通信が切れちゃったよ」
「にとり、どうしたのですか?」
 椛が何があったのかを尋ねる。
「妖怪の山にある、間欠泉地下センターにSEEDが現れたって……」
「河城さん、その施設は?」
 幻想郷の住民でないゲイリーが、にとりにその場所についてを尋ねる。
「核融合炉の研究施設で、余剰熱で人工温泉を造っている場所だよ。でもなんだってSEEDが……」
「ここで考えても仕方が無いわ。私がスキマでみんなを移動させるわ」
 了解の返事を聞く前に、紫のスキマが全員を飲み込む。
 次の瞬間には間欠泉地下センターのある妖怪の山の麓にたどり着いていた。
 椛や射命丸、にとりなどの妖怪の山に住む者に取っては見慣れた風景であったはずだが、今は異形の世界とかしていた。
 木々や大地はおぞましい肉塊のようなものにとりつかれており、それは心臓の鼓動のように脈打っていた。
「まずい、HIVE化が始まっている」
 ゲイリーがこの状況を見て言う。
 彼はHIVE化について皆に説明した。SEEDがAフォトンリアクターを吸収したとき、そのエネルギーを使って、周囲の環境をSEEDの巣とするのだ。
「うん? ちょっと待てよ。Aフォトンリアクターはゲイリーが持っているじゃないか。じゃあなんでSEEDはHIVEを作ることが出来たんだ」
 魔理沙の疑問はもっともだった。
「大方、Aフォトンを諦めて、代わりになるものを見つけたんじゃないの? ここには、あの烏妖怪がいるから、あの子が持っている八咫烏の力を奪ったんじゃないかしら」
 霊夢が勘任せで言う。だが、誰もがおそらくそれが正解なのだろうと思っていた。それほどまでに彼女の勘は外れることよりも当たることの方が多い
「博麗さん、その八咫烏というのは?」
「太陽の使いよ。ここには霊烏路空という地獄烏の妖怪がいるのだけれど、彼女は八咫烏をその身に宿しているおかげで、太陽と同じ力を使うことができるよ」
「なるほど、だからここは核融合の研究施設なのか」
「とにかく仲間の河童が心配だよ。入り口はこっちだから早く!」
 にとりが一同を急かす。
 だがその時、SEEDに支配された森がざわめいた。
「ようやく本番といったところね」
 霊夢が札を構える。
 森からは大量のSEEDフォームが姿を現していた。
「まずい! 皆さん、上空にも大量のSEEDが現れました!」
 椛の声に全員が空を見上げる。彼女の言葉通り大量のSEEDがそこにいて、空を覆い尽くしていた。
 それはコウモリのようなSEEDであり、皮膜からフォトンの光を発している。
「ジャスナガンか!」
 ゲイリーがそのSEEDの名を呼ぶ。
 SEEDは一つの方向に向かっていた。人座のある方角だ。
 Aフォトンリアクターがあるというのにこちらには見向きもしない。代用エネルギーを得て、Aフォトンが不要となった可能性はますます強まった。
「お、おい! このままじゃあいつら人里にいっちまうぜ!」
 魔理沙が叫ぶ。
「紅符『不夜城レッド』」
 真っ先に行動したのはレミリアだった。彼女はジャスナガンの大群の中に入り込み、自身の体を中心とした十字架状のエネルギーを発して、数体を蒸発させる。
「ふふふふ。一体一の対決も楽しいけれど、なかなかどうして、大量に蹂躙するのも良いものね」
 だが、レミリアだけでは全てを倒しきれていない。それどころか新しいSEEDが現れるほどだ。
「まずいわね」
 紫は顔をしかめる。
 これではきりがなく、おそらくSEEDを生み出しているであろうダルク・ファキスを倒さなければならない。
 だが人里に向かおうとするSEEDを野放しにするわけにはいかない
「咲夜、アリス、椛、にとり、そしてゲイリー。貴方達はセンター内にいるダルク・ファキを倒してきなさい。残った者達はここでSEEDの侵攻を防ぐわ」
 霊夢や魔理沙は大量の敵を倒す事が出来るスペルカードを持っている。射命丸は、彼女の『風を操る程度の能力』は室内での集団戦には向かない。紫の判断は妥当だった。
「入り口はこっちだよ。早く!」
 にとりの案内で、突入組はセンターへと向かう。
 センターの入口は麓の森の中にひっそりと隠れるようにあった。機械制御の扉は幻想郷には不釣合な存在だ。だが、それだけ河童の技術がこの世界で突出しているという事でもある。
「これ、動くの?」
 アリスが入り口の様相を見て、懐疑的な声を上げる。
 この場所もすでにHIVE化されており、センターの入口もSEEDの肉と同化しつつあった。
「いや、大丈夫だ。グラールでもそうだったが、HIVE化してもそこにある施設や設備はそのまま使用できる」
 ゲイリーの言葉は真で、にとりが入り口の制御盤を操作すると、なんの問題もなく扉が開いた。
 HIVE化した間欠泉地下センターの内部は、脈動するSEEDの肉で、まるで巨大な怪物の体内のような様相をしえいた。
 階段を下り切る。敵は襲ってこないが、どこにいるのか分からない。全員が慎重に周囲を警戒する。
「河城さん、核融合炉の位置は?」
 ゲイリーがにとりにダルク・ファキスがいるであろう、核融合炉の場所を尋ねる。
「この道を真っ直ぐだよ」
「分かった。では、河城さんと犬走さんは、要救助者の所に行ってくれ。俺達はこのまま、ダルク・ファキスの討伐に向かう」
「分かった、気をつけてね」
 にとり、椛と別れ、ゲイリー、アリス、咲夜はそのまま奥へと進む。
 行く手を遮るSEEDを倒しながら進んでいると、広い部屋に出た。
 部屋の中央にはヘルガがいた。
「ヘルガ・ノイマン!」
 ゲイリーがスーパーセイバーの切っ先をヘルガに向ける。
「ふふふ、意外と早く来たわね」
 ヘルガは余裕を崩さずに、不敵に笑っている。
「ゲイリー・スー、八咫烏の力を手に入れた以上、もうあなたは用済みよ。太陽の力を手に入れたダルク・ファキスは、もうすぐダーク・ファルスへと進化する」
「何だと!」
 ゲイリーが驚きの声を上げる。
「なんなの? ダーク・ファルスって。名前が似ているからダルク・ファキスと関係がありそうだけれど」
 横にいたアリスがゲイリーに尋ねる。だが、それに答えたのはヘルガだった。
「ダーク・ファルスはSEEDを統べる、偉大なる暗黒神! ダーク・ファルスからダルク・ファキスが生まれ、そして更にSEEDが生まれる。ダーク・ファルスが復活すれば、幻想郷はSEEDの楽園となるわ」
 ダルク・ファキスがSEEDに取っての母体ならば、その上位に位置するダーク・ファルスはさながらSEEDの神とも呼べる存在だった。
「ダーク・ファルスの復活を貴方達に邪魔させない。ここで死になさい! 華麗『ウィッチタイム』!」
「混沌『カオスコントロール』!」
 ヘルガのウィッチタイムに対抗して、ゲイリーが同質の力を持つカオスコントロールで迎え撃つ。
 一瞬、二人の姿が消えたと思うと、次の瞬間には対峙する形で再び現れる。
「マーガトロイドさん! 十六夜さん! こいつは俺に任せて、早くダルク・ファキスを!」
「勝ちなさいよ。私はキャストについてまだ聞きたいことがあるのだから」
「武運を祈っているわ」
 アリスと咲夜は、ヘルガをゲイリーに任せて、ダルク・ファキスの元へと向かった。

Act2へ続く
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by ginseiseki | 2010-10-06 20:51 | 二次創作小説
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