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銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

PSU&東方クロスオーバー小説 第6話Act1

 私が東方をプレイし始めたのは地霊殿からですが、未だにエクストラステージに到達できません。ノーマルでは大体3ステージあたりから先に進めなくなります。




出典元
SEGA『ファンタシースターユニバース』
上海アリス幻樂団『東方Project』

東方幻想惑星~キャストが幻想入り~
第6話 白い蓮花は鋼を守るく



 絵の具が塗られていないキャンパスのように、真っ白な風景しか見えない空間。天も大地もなく、それは宇宙空間にていた。
 ここはは次元の境界。普通ならば訪れることが出来ない場所だが、『境界を操る程度の能力』ならば造作も無い。
 そんな不可思議な世界に八雲紫がいた。
 目の前には途方もなく巨大な壁がそびえ立っていた。上下左右すべての方向を見ても、壁の終りが見えないほどだ。
 壁の向こう側にグラールがある。
 次元の壁には大きな亀裂が合った。その大きさは何十人もの人間が楽に通り抜けられそうなほどであった。
 この亀裂の先にグラール太陽系で封じられたはずのSEEDがいる。
 グラールにてSEEDは『封印装置』とよばれる機械によって封じられたと聞く。紫は人間に化けてグラールに渡り、その封印装置の仕組を解明し、そして目の前にあるほころびを修繕する方法を完成させた。
 あとは裂けた服を縫い上げるように壁の亀裂を直すだけだった。
「それにしても……思ったほどたいしたことない異変だったわね」
 異世界からの存在ということで、紫は十分に警戒して異変の解明に当たったが、いざ動いてみるとどうというものではなかった。
 幻想郷に現れた敵はどれもザコばかりで、少し腕の立つ人間ですら倒せてしまう。
 そのまま放置してもいずれ淘汰される程度の存在でしか無かった。これならば、囮役としてゲイリー・スーを連れてくる必要もなかった。
「あとはザコの始末と、ゲイリーの問題を解決すれば何もかも終わりね」
 ゲイリーの抱えている宿命。それを解決する手段を紫は知っていた。
 周囲からは胡散臭いと言われる紫ではあるが、ゲイリーの宿命には多少不憫とは思う。幻想郷という公共のためとは言え、宿命を利用して囮にした事に、まったく罪悪感を感じないわけでもない。
 なので、グラールにわたってSEEDや封印装置について調べるついでに、ゲイリーを救う手立てを探した。
 手段が無かったら無かったで、ゲイリーを幻想郷の住民として受け入れれば良かったので、それほど本気で探していたわけではなかった。だが、予想外のところから彼を救う手段が見つかったのだ。
「さて、仕事を始めるとしますか。物語もこれでおしまいね。あまり面白くなかったのが少し不満だったけれど」
 紫は次元の壁にある亀裂に近づく。そして、SEED封印のほころびを塞ぐために、意識を集中させた。
「ざんねぇん。まだまだ続くわよぉ」
 その時、亀裂から女の声が聞こえた。己に過剰なまでの信頼を持っている傲慢な口調だ。
 亀裂の内側から衝撃が襲いかかる。亀裂の修繕に集中していたため、衝撃をまともに受けてしまう。
 大妖怪である紫にとって、この程度の衝撃は、後ろへ突き飛ばされる程度の効果しかない。しかし、それによって生まれた大きなスキは亀裂の内にいる者にとって十分すぎるほどの好機であった。
 亀裂から大量のSEEDフォームが飛び出してくる。体の各部から怪しい光を放つ、およそ生物とは思えないような生物が、幻想郷に向かって大挙して押し寄せて行く。
 その中にひときわ巨大な存在がいた。それは光る翼を持ち、両手は巨大な刃になっていた。そして下半身に脚はなく、蛇のような姿であった。
「ダルク・ファキス!」
 グラールでの調査活動で紫は知っていた。それはSEEDの上位存在であった。
 そのダルク・ファキスの肩の部分に、黒衣の女がいた。恐らくは、先ほどの声の主だろう。
 彼女は目が合うと不敵な笑みを残して去っていった。
「やってくれたわね……!」
 紫は怒りを露にする。このままSEEDと黒衣の女を追いかけたいところだが、ダルク・ファキスが飛び出してきた衝撃で、ほころびが広がろうとしている。一刻も早く閉じなければ、まだ封印の内側に残っている大量のSEEDまで幻想郷にやってきてしまう。
 紫は屈辱に耐えながら亀裂を閉じる。次元の壁は傷ひとつない状態まで修復されたが、事態はまったく好転しなかった。
 ダルク・ファキスは新たなSEEDを生み出せる。それが幻想郷に向かってしまった。





 人里の近くに、命連寺という寺院がある。そこは『武』と『財』の象徴である毘沙門天を本尊としているのだが、普通の仏教とは少々異なる教義を持っている。
 それは人と妖怪との完全なる平等。命蓮寺の主、聖白蓮《ひじり・びゃくれん》は人に追い立てられて、行き場所をなくした妖怪を助けていた。
 仏門の者であるが、同時に魔法使いである彼女は少々特異な姿をしていた。服装は法衣ではなく、白黒の魔法使いの服で、髪の毛は紫から金色のグラデーションがかかっている。。
「失礼します」
 白蓮が寺の一室で書き物をしている時に、自分を慕ってくれる妖怪、ナズーリンがやって来た。
「ええ。良いですよ」
 ふすまの向こう側にいる彼女を部屋に向かい入れた。
 ふすまが開かれて黒いワンピースに灰色のケープを羽織った少女が現れた。ネズミのような耳が目立つ。
「彼を連れてきましたよ」
「ご苦労様です、ナズーリン」
 白蓮は筆を置いてナズーリンと向き合う
「なに、あなたの頼みだからこそ引き受けたのですよ」
「それで、ゲイリーさんの様子はどうですか?」
「見つけたとき、酷い怪我をおっていました。あちこちが壊れていて、右腕を失っています。意識はなく、機械の体であるため、生きているのか死んでいるのか定かではありませんね」
「なんと……すぐに彼の元へと向かいます」
「”修理”できるのですか?」
「”治療”ですよ、ナズーリン」
「……これは失礼」
「ともかく、彼を治すことが出来る可能性があります」
 白蓮は立ち上がり、ゲイリーを寝かしている部屋へと向かい、ナズーリンも同行する。
「なんて、ひどいケガなのでしょうか……」
 ぼろぼろになっているゲイリーを見て、白蓮はまるで自分のことのように悲痛な表情を浮かべる。
「それで、どのような方法で彼を治すのですか?」
「先日、グラールの魔法書を手に入れました。それによると、グラールの魔法では彼のような者でも治療できるようです」
 ゲイリーの傍らに座り、精神を集中する。そして、彼の体の上に掌をかざした。
「ギ・レスタ」
 掌から生まれた光が広がり、ゲイリーの体を包み込む。
 すると、ゲイリーの傷口がみるみるうちに消えていった。
 失われた腕が再生することはなかったが、一命を取り留めることには成功したようだった。癒しの光が消えると、ゲイリーが目を覚ました。
「ここは……いったい」
「よかった。お目覚めのようですね?」
 ゲイリーは白蓮とナズーリンをみて、驚きの表情を浮かべる。
「何者だ?」
 ゲイリーは警戒心をむき出しにしている。
「私は聖白蓮。この命蓮寺の者です。彼女はナズーリン。湖で倒れていたあなたをここまで連れてきてくれました」
「命蓮寺……人里で評判の寺か……俺の体が治療されているが……」
「ええ。私が行ないました」
「そうだったのか……聖さん、ありがとう」
「いえ、当然のことをしたまでですよ」
 謙虚ではなく心からそう言った。
「……俺の体について知った上で助けたのか?」
「はい。すべてを承知のうえで、あなたを助けました」
 ゲイリーについては彼が幻想郷にやって来たその日に、八雲藍から聞いている。
 白蓮はゲイリーを助けるかどうか悩んだ。もしも彼が善なる者ならば、すぐにでも助けるべきだったが、心のないただの人形であったり邪悪な者であるならば、倒さなければならなかった。
 数日間様子を見た結果、ゲイリーは救うべき者であることを確信したのだが、それと同時に彼は姿を消してしまった。
 すぐさま、『捜し物を当てる程度の能力』をもつナズーリンの力を借りて、彼の行方を探した。
 ナズーリンの能力は、本来は人物相手に使える能力ではなかったが、機械の体を持つ彼は探し当てる事が出来た。
「なぜだ? 俺は誰からも始末される理由を持っている人間だ。特に俺を追いかけて来た赤木鳩美にこの事を知られたら、ただではすまないはずだ」
 ゲイリーの言葉に白蓮は相手の不安を和らげるかのように微笑む。
「いいえ、大丈夫です。この幻想郷にあなたを殺そうとする者はいません。もちろん、鳩美さんもです」
「どういう事だ?」
 ゲイリーに赤木鳩美について教えた。彼女は全ての異世界に必ず一人存在するということ。ゲイリーを倒した鳩美と、幻想郷の鳩美は別人であることを伝えた。
「事実なのか?」
 ゲイリーが疑うのも当然のことであった。常識はずれの多い幻想郷の住民にとっても、にわかには信じがたい話だ。
「はい」
 相手に信用してもらうため、はっきりと肯定した。
「今、この寺には結界を張っています。ここに居る限り、あなたから発せられるAフォトンの波動は外にもれません。ですから、幻想郷の者達がSEED異変を解決するまで、ここに滞在していてください」
「……ああ、分かった」
 安全な場所を得られたというのに、ゲイリーの顔色はすぐれない。
 常に人の(もちろん妖怪も)心と向き合ってきたから分かる。彼は表面では相手を信用しているように見えて、その内心では強い疑心暗鬼に囚われていた。





 一方、紅魔館の図書館では。
「出来た……!」
 完成したそれを目の前にして、パチュリー・ノーレッジは静かに喜びの声を上げる。
「おめでとうございます。パチュリー様」
 傍らにいたコウモリの翼を生やした赤毛の少女が自分のことのように喜ぶ。
 彼女は助手として召喚した小悪魔だ。名前がないのでそのまま小悪魔と呼んでいる。
「異世界の力を封じ込めた、擬似スペルカード。興味本位で始めた研究だけど、まさか完成するとは思っても見なかったわ」
 読書や魔法研究に使っている机の上には、完成したばかりのスペルカードが数枚あった。
 図書館の入り口が乱暴に開かれた。
「よう、パチュリー! 今日も本を借りに来たぜ」
 騒がしい声は霧雨魔理沙のものだった。彼女は良く図書館に本を盗みにやってくる。本人は借りると言っているが、一生借りるのならばそれは明らかな窃盗にほかならない。あの手この手で追い返そうとするのだが、いつも失敗に終わってしまう。
「丁度いいわ。小悪魔、出来たばかりの擬似スペルカードを使って魔理沙と戦いなさい」
「ええ!? わ、私と魔理沙さんがですか?」
 小悪魔は悪魔であっても力は弱い。妖精より少し強い程度だ。
 対する魔理沙は大妖怪とも互角に渡り合える実力を持っていた。
「確かに実力差は大きいわ。でもだからこそ、擬似スペルカードの力を測れるというものよ」
「わ、分かりました」
 小悪魔はパチュリーから二枚のスペルカードを受け取る。
「お、今日は小悪魔が相手か? だけどいつもみたいに速攻で終わらせてやるぜ」
 魔理沙の自身は事実だ。小悪魔は彼女が図書館を襲撃するときにパチュリーと共に戦うが、勝てた試しがない。
「行きますよ……」
 そして数分後。勝利したのは小悪魔だった。
「な、なんだよ。そのスペルカード」
 敗北して床に倒れた魔理沙が信じられないという表情をする。
 それは小悪魔も同じであった。彼女にとってもこの結果は信じられないものであった。
「イテテテ、おいパチュリー、そのスペルカードは一体なんなんだよ」
「異世界からやってきた魔道書を元につくってみたわ。ついでに、相応の力さえあればだれでも使えるようにしたの」
「そんなスペルカード作っていいのかよ? スペルカードルールを作った霊夢が黙っていないと思うぜ?」
「他人の力を使ってはならない、なんてルールはないでしょう。さあ、今日はもう諦めておとなしく帰りなさい」
「ちぇー、今度は負けないからな!」
 魔理沙はそう捨て台詞を残して立ち去っていった。
「ではパチュリー様、カードをお返しします」
 小悪魔から返却されたカードをパチュリーは受け取る。
「……そろそろ出てきたら?」
 パチュリーは本棚の影に向かって呼びかける。
「あややや、見つかってしまいましたか」
 侵入者は魔理沙だけではなかった。射命丸文も図書館にいたのだ。
「今の出来事を記事にするつもり?」
「ええ、もちろんですとも」
「そう」
「おや、意外とあっさりしていますね? 反対されるかと思いましたよ」
「反対したところで、ジャーナリズム精神がどうのこうのと言って記事を書くくせに」
「ははははは」
 射命丸の乾いた笑い声は、それが図星であることを証明していた。
「まあいいわ。好きにしなさい。今日は気分が良いから、取材をうけてあげる」
「ありがとうございます。では最初の質問なのですが……

Act2へ続く
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by ginseiseki | 2010-07-25 13:07 | 二次創作小説
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