「ほっ」と。キャンペーン

銀星石のブログ

ginseiseki.exblog.jp

銀星石のエッセイブログ

PSU&東方クロスオーバー小説 第4話 Act2

 ゲイリー・スーと赤木鳩美、二人もメアリ・スーキャラを登場させてしまいましたが、今後は私オリジナルのキャラは、名無しのやられ役などを除いて一切登場しない予定です。



出典元
SEGA『ファンタシースターユニバース』
上海アリス幻樂団『東方Project』

東方幻想惑星~キャストが幻想入り~
第4話 青い機人は刃を振るう Act2



 スキマに入った魔理沙がまず目にしたものは、どこかの建物の中だった。金属で作られている場所は、明らかに幻想郷では無かった。
 魔理沙は周囲を見渡す。机が均等に並び、その上には用途の分からない機械がいくつも置かれている。
「ここはグラールのとある場所。モトゥブという星にある、イルミナスという組織の隠れ家よ」
 誰かが質問をする前に紫が答えた。
「ゲイリー・スーの物語を見る前に、まずはグラールで起こった出来事を説明する必要があるわね」
 紫が朗読者のように語りだす。
「ある時、グラールにSEEDと呼ばれる生命がやって来たわ。SEEDは無差別にグラールを攻撃した。その上、イルミナスを名乗る者達は、グラールを支配するために、SEEDの力を利用していたの。ゲイリーは人々を守るガーディアンズという組織の一員で、世に仇なすイルミナスを倒すために戦っていたわ」
 紫が語っている途中で、部屋にある扉が空気の抜けるような音を立てながら開いた。
「よし、誰もいないな……」
 扉から入ってきたのは、なんとゲイリーだった。しかし、この部屋には魔理沙を含めて九人もいる。それなのに、何故か彼は誰もいないと認識していた。
「これは過去のゲイリーの姿。私の力を使って現実と記憶の境界を操って、貴方達に彼の記憶を映像として見せているわ。だからこの彼は私たちの姿が見えていない」
 紫がこの空間のからくりを説明してくれた。
 全員がゲイリーの過去を黙って見ていようとする。しかし、彼の後に続いて入ってきた『彼女』を見たとき、どよめきが沸き起こる。
「わ、私……!?」
 一番驚いているのは鳩美だった。なぜならば、現れたのは彼女自身であったからだ。
 魔理沙は紫を見る。彼女は答えを知っているかのような表情を浮かべていた。
「私の藍も初めて彼女を見たときは驚いたわ。まあ当然よね。知っている顔と瓜二つの人物が異世界にいたのだから」
 紫がイタズラが成功したような目で、驚く魔理沙達を見ている。
「赤木鳩美、よく聞きなさい。貴方は”この世にたった一人いる”人間ではないの。幻想郷とグラールはもちろんのこと、全ての世界に必ず一人は『赤木鳩美』という人物が存在しているの」
「で、では彼の言っていた『私』というのは……」
「その通り。ゲイリーはグラールの赤木鳩美と、強い因縁を持っている」
 紫が『赤木鳩美』の存在について語っている間、過去のゲイリーと鳩美は、部屋にある機械の一つを操作していた。
「どうですか、ゲイリー」
「苦労してイルミナスの秘密基地に潜入した甲斐があった。この情報があれば、かなり有利になれるぞ」
 その時、けたたましい音が部屋中に鳴り響いた。
「見つかったか。逃げるぞ、鳩美!」
「はい!」
 ゲイリーと鳩美は部屋から飛び出し、遠くから戦いの音が聞こえてきた。
「ゲイリーとグラールの鳩美は、相棒同士の関係に合ったわ」
 再び紫が語りだす。
「この後も、二人は戦い続ける。そして、グラールの人間たちはSEEDを封印して、イルミナスを倒した」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、紫」
 紫の語るゲイリーの過去に、魔理沙は強い違和感を持った。
「なんでゲイリーは相棒を恨んでいるんだ?」
 紫がニヤリと笑う。良い質問を生徒を見るような目だ。
「ゲイリーと鳩美の物語は『めでたし、めでたし』で終わらなかったのよ」
 紫が指を鳴らす。すると、風景が一変した。
 そこは夜の公園だった。見晴らしの良い高台にあり、正面には山よりも高い建物がきらびやかな光を発している。
 ゲイリーと鳩美の姿があった。他には誰もいない。二人だけだ。
 鳩美はゲイリーに背を向けて夜景を見ている。
「一体どうしたんだ? うかつに口外出来ない重要な話とはなんだ」
「……」
 鳩美はゲイリーの問いに答えず、無言のままだった。
「今から二十年ほど前に、旧文明の遺跡から極めて高性能なフォトンリアクターがいくつか発見されたことは知っていますか?」
「……ああ……グラールには現在よりも極めて優れた科学力を持つ古代文明の存在が証明された一件だな」
「そうです。そして、旧文明の技術を現代に転用する研究のために、そのフォトンリアクターを搭載した一人のキャストが作られます。それが、貴方ですね?」
「……そうだ」
 若干の間の後、ゲイリーは鳩美の言葉を肯定した。
「結論をいいます。貴方のボディーにあるリアクターは、旧文明の最新型Aフォトンリアクターであることが判明しました」
「なんだと……」
 ゲイリーと鳩美が、会話の途中でピタリと動きを止める。
「少し補足するわ」
 ゲイリーの過去の物語を一時停止したのは紫だった。
「グラールにはフォトンと言うエネルギーの他に、それよりもさらに強い力を持つ、Aフォトンというものがあるわ。そして、このAフォトンはSEEDの餌となるの。その為に、Aフォトンで繁栄していたグラールの古代文明はSEEDの来襲で滅亡し、ゲイリー達の時代でもAフォトンが使われるようになった結果、SEEDが再びやって来たの」
 紫の補足説明を聞いて、魔理沙は一つの疑念を持った。AフォトンがSEEDを引き寄せ、それがゲイリーの体に宿っているならば……
「それでは、物語の続きを見ましょう」
 紫が物語を再生させたので、魔理沙はその疑念を一時心の隅に追いやる。
「あの戦いでSEEDを封印しても、この宇宙のどこかに、まだSEEDが存在する可能性はゼロではありません。その上、あなたのボディーは特殊すぎてリアクターを通常のものに移植するのも不可能。SEED再来を防ぐために、ガーディアンズはゲイリー・スーの封印を決定しました」
 魔理沙の疑念はグラールの鳩美によって確証を得た。つまり、ゲイリーには自分の意思とは無関係に世界の敵となってしまう宿命があったのだ。
「そ、そんな……」
 強いショックを受けたゲイリーの反応は、魔理沙にとっては人間としか思えない。
「あなたを殺すわけではないですが、再び目覚めさせる保証が無い以上、これは事実上の死刑宣告です」
 鳩美の掌が一瞬光ると、刃の光る剣が現れる。魔理沙は以前聞いたことがあった。ナノトランサーという、小さな箱に大量の物品を道具できる道具だ。
「できれば抵抗しないで下さい」
「ま、待ってくれ!」
 一歩近づく鳩美に、ゲイリーは制止の声をあげる。
「まだ可能性はあるはずだ。SEEDを引き寄せず、なおかつ俺が生き残る方法が。せめて、それを探す時間を少しだけくれ!」
 ゲイリーは必死だった。それも当然だと魔理沙は思う。死ねと言われて、そうですかと受け入れる人間などいない。
「……可能性か……くっくっくっくっく……はーっはっはっはっは!」
 その時、鳩美が突如笑い声を上げた。最初は含み笑いだったが、こらえきれなかったように高々に笑った。
「お前の可能性など、この世界に生きる人間にとってはどうでも良いのだよ。念のためにお前を始末して、枕を高くして眠る。それがこの世界の意志だ」
 鳩美の豹変にゲイリーは呆然とした表情で絶句した。
「どうした、その表情は? まるで信じていた相棒に裏切られたような顔じゃないか。残念だが、これが私の本性だ。私はお前の相棒なのではない。赤木鳩美はゲイリー・スーの敵だ」
 知り合いと同じ顔が悪魔のように笑うのを見て、魔理沙は背筋が凍るような思いだった。
 グラールの鳩美の本性を目の当たりにしたゲイリーは、呆然とした表情から悲しみの表情になる。そして、悲しみから絶望へ、絶望から怒りへと移り変わっていく。
 ゲイリーもナノトランサーから鳩美と同じ剣を出す。
 もはや二人は言葉を交わさなかった。二つの刃がぶつかり合い火花を散らす。
 戦いはわずかにゲイリーのほうが優勢だった。徐々に鳩美の方が押されていく。
 ゲイリーの攻撃を鳩美は真正面から剣で受け止めるが、武器を弾き飛ばされてしまった。
 鳩美の首を狙って刃が振り下ろされる。しかし、その直前でゲイリーは動きを止めてしまった。
 明らかな迷いがあった。最も信頼している相棒を殺す冷酷さが彼には無かった。
「甘いぞ、ゲイリー!」
 鳩美はゲイリーの腕をつかみ、投げ飛ばす。それと同時に彼の剣も奪いとって、一刀を浴びせた。身体に傷はなかった。しかし、彼は苦しむように地面にはいつくばる。
「殺すなという命令だから、スタンモードで攻撃した。だが、お前の結末を考えれば意味のない命令だな」
「ぐ……鳩……美……」
「お前は生まれてきてはならなかった。お前が生きているだけで、この世の全てに害をもたらす。だから私はお前を封じる。お前さえいなくなればこの世界は平和になる」
 ゲイリーは意識が遠のきながらも、強い怒りでグラールの鳩美を睨みつけている。
「お前はこの世界に憎しみをいだいてはならない。社会はおまえに憎む権利を与えていない」
 ゲイリーは鳩美に向かって両腕を伸ばす。その手は人の首を締めようとする形だった。
 しかし、ゲイリーは意識を失い。その両手は鳩美の首には届かなかった。
 彼が意識を失うと同時に、物語は終幕を迎えた。異世界の風景は消え去り、魔理沙達はそれぞれの姿以外は何も見えない真っ黒な場所に立っていた。
「これが、ゲイリーと鳩美の因縁よ」
 酷い物語を見せられて、気まずい沈黙があった。
 その沈黙を破ったのは鳩美だった。
「グラールの私が、彼にとても酷いことをしたのは分かりました。ですが、八雲様が彼を幻想郷に連れてきた理由が分かりません」
「それはこれから説明するわ」
 いかなる理由で紫はゲイリーを連れてきたのか。魔理沙達は彼女が語りだすのを待った。
「まず、幻想郷はSEEDからの攻撃を受けているわ。SEEDが封印されたとき、同時にSEEDによって凶暴化したグラールの生物も封じられた。今、幻想郷を騒がせているグラールの生物は、その時封じられたもの達よ。いずれ、SEED自身も現れるでしょうね」
「待ちなさいよ紫。別世界で封印された存在が、どうして幻想郷にやってくるのよ」
 霊夢が紫に訪ねる。もっともな疑問だ。
「詳しい原因は分からないわ。SEEDの封印が不完全だったためにほころびが生まれ、そのほころびから行き着く先が幻想郷だった。今はそれが重要よ」
 確かに紫の言うとおり、問題の原因を究明するのは、今起こっている問題を片付けてからだ。
「私がゲイリーを連れてきた理由は二つ。一つは純粋に戦士としての実力を買って。彼の持つSEEDと戦った経験は、この異変を解決するのに役立つだろうし、Aフォトンという強い力も持っている。事実、Aフォトンの持つ空間操作能力によって、彼は十六夜咲夜の時間停止攻撃に一瞬だけ対応したわ」
 紅魔館がレミリアの気まぐれでゲイリーと一戦交えたことは、射命丸の新聞を介して魔理沙も知っていた。
「そして、もうひとつの理由はゲイリーのSEEDを引き寄せる宿命を利用するため。まだ準備に時間がかかるとはいえ、封印のほころびは私の力で修正できるわ。ただ、問題はすでに幻想郷に出てきてしまった敵よ。彼に引き寄せられた敵を、一網打尽にするのが私の目論見」
 紫の考えは実に合理的だった。しかし、それでも魔理沙は彼女に言いたかった。
「だけどよ、紫。それじゃゲイリーが報われないんじゃないか? 相棒からひどい目に合わされた挙句、幻想郷で利用されるのは割りに合わないのともうぜ?」
 個人の言葉など意味が無いことはもちろん魔理沙自身も分かっていた。だが、それでも言わなければならないという不自然な義務感に突き動かされての発言だった。
「いくら私でもそこまで酷い妖怪ではないわよ。私の愛する幻想郷のため戦ってくれるのだから、彼を幻想郷に受け入れ、生きていることを認める。それが私が彼に送る報酬よ。もちろん、このような事態になった以上、ちゃんと説明して協力を求めるわ」
 それを聞いて魔理沙は内心ほっとした。閉ざされた世界である幻想郷ならば、紛れ込んできたSEEDさえ倒せば、ゲイリーは大手を振って生活出来る。
「果たしてそうかしら?」
 紫のスキマに入ってから、ずっと黙っていたレミリアがここに来て口を開く。
「『存在しない』証明は実質上不可能よ。ならば、幻想郷でもグラールと同じように、ゲイリーが生きている事を否定されるかもしれないわよ?」
 せっかく話が良い方向になったのにと、レミリアの発言を不快におもう魔理沙だが、良く考えてみれば、彼女の言うことはありうる話だ。
「私が味方になります」
 はっきりと言い切ったのは、なんと鳩美だった。レミリアは彼女を見定めるような目をする。
「なぜ? 貴方が彼の味方になる義理は無いはずよ?」
「確かにスカーレット様の言うとおりです。ですが、私がグラールの赤木鳩美と同じと見られてしまうのは、ひとりの人間として我慢なりません。ですから、私は貴方を裏切った鳩美とは別人という証を立てるためにも、私は彼の味方になります」
 鳩美とそこそこ付き合いのある魔理沙は、その人間性を知っていた。彼女らしい物言いだった。
「私の見せたことを話せば、彼も鳩美を恨むことはないでしょう。事情を話したあなた達には、できればゲイリーと共にSEEDと戦って欲しいのだけれど、どうかしら?」
 紫は全員を見渡す。
「当然だぜ! こんな面白そうなこと、首を突っ込まずに入られないからな」
 魔理沙は真っ先に名乗りあげた。自分の興味が理由というのは紛れもない本音だが、ゲイリーに同情したからというのも事実だった。
「私は彼に助けられました。その恩に報いるため、彼と共にSEEDに立ち向かうことを誓います」
 次に名乗りあげたのは椛だった。彼女らしい、義理堅い返事だ。
「記者は傍観者でなければなりませんが……まあ、密着取材ということなら、協力しても大丈夫でしょう」
 どんな状況でも記者であり続けようとするのは射命丸らしかった。
「私も共に戦うわ。彼の近くでは極上の闘争が楽しめそうだからね」
 レミリアの答えは実に吸血鬼らしかった。そばに仕える咲夜は何も言わないが、レミリアが戦うのならば彼女も戦うだろう。
「SEEDなんてどうでも良いけど、ゲイリーを壊されたら研究に支障をきたすわ。少しばかり不本意だけれど私も協力するわ」
 アリスの答えは、聞きようによっては、照れ隠しで言っているかのように誤解されるものだった。
「ゲイリーなんて関係なく、私は私のする事をするだけよ」
 無関心主義の霊夢は魔理沙が予想していたとおりに答えた。誰も愛さない代わりに、誰も憎まない彼女は、どのような出来事に対してもシンプルに行動する。
「そう、それは良かったわ。では、そろそろ神社に戻るわよ」
 紫が空間を指でなぞってスキマを作る。その向こう側に博麗神社の境内が見えた。
 魔理沙達は紫の作った空間から境内へ出る。
「あれ? ゲイリーはどこだ?」
 最初に出た魔理沙は、気を失って倒れているはずのゲイリーがいない事に気がつく。
「私としたことがうかつだったわ。スキマに入っている間に、目覚めて姿を消してしまったようね」
 普段は胡散臭いまでに自信に溢れている紫の表情が珍しく歪む。
 その後、魔理沙達は手分けして博麗神社の周辺を探すが、とうとうゲイリーは見つからなかった。

第5話へ続く


捕捉
 第4話から登場した赤木鳩美の解説です。彼女は私の作品におけるスターシステムの代表で、わかりやすいえば、手塚作品のヒゲおやじと同じようなキャラです。

 グラールの鳩美は私が以前書いたPSUとPSOのクロスオーバー小説に登場した鳩美と完全に同一人物です。時間軸的には鳩美がゲイリーを倒したのは、SideYouCrossOverのPSU編より前の出来事です。

 また、八雲紫が「赤木鳩美は全ての世界に存在する」と言ったように、この東方幻想惑星も『トラベラーの世界観』を適用しています。この『トラベラーの世界観』がどういったものなのかは、SideYouCrossOverの旅人変に詳しく描写しています。完全に宣伝です。
[PR]
by ginseiseki | 2010-05-31 23:03 | 二次創作小説
ブログトップ