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銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

PSU&東方クロスオーバー第2話 Act2

 今回、ジョジョの奇妙な冒険3部とヘルシングのパロディが含まれています。





出典元
SEGA『ファンタシースターユニバース』
上海アリス幻樂団『東方Project』

東方幻想惑星~キャストが幻想入り~
第2話 紅い悪魔は銃把を握る Act2




「はい、確かに招待状を確認しました。紅魔館へようこそ」
 門番を勤めている赤毛の女性が門を開く。
 レミリア・スカーレットからの招待状を受け取った翌日、ゲイリーは紅魔館に訪れていた。
 正門から屋敷までの間には、手入れの行き届いた庭園があった。現在は暖かい気候なので、色とりどりの花が咲いている。
 玄関の扉をゲイリーはノックする。数秒の間の後、ゆっくりと扉が開かれた。
 中は暗い。窓が異様に少ない上に、明かりが灯っていない。ゲイリーの視覚センサーにはサーモグラフィー機能もナイトスコープ機能も無いので、周囲の状況を視認出来ない。
 その時、近くの壁に光源が発生した。燭台のロウソクに火が灯っている。だが、それを点火した者はどこにもいない。
 次々と燭台のロウソクに火が灯る。
 全ての燭台に火が灯り、ゲイリーは紅魔館の内部を見ることが出来た。
 玄関ホールは吹き抜けになっており、高い天井には豪華なシャンデリアが吊られていた。正面には二階へと上がる大階段がある。
 屋敷はシンと静まりかえっており、人の気配を感じられない。ゲイリーは誰かいないのか、周囲を見渡す。
「紅魔館にお越しいただき、ありがとうございます」
 その時、女の声が聞こえてきた。先程まで誰もいなかったにも関わらず、いつの間にか階段の前に一人のメードが立っていた。
「あなたは……」
「私は当館のメード長を勤めております、十六夜咲夜と申します。以後、お見知りおきを」
 咲夜と名乗ったメードは、スカートの両端をつまんで優雅に一礼をする。
「ミズ・スカーレットからグラールについて話して欲しいと依頼されたゲイリー・スーだ。こちらも、今回の招待には感謝している」
「…………誠に申し訳ありませんが、スー様にグラールについてお聞かせいただくというのは、当館に来ていただくための方便でございます」
「なに?」
 咲夜の手には一本のナイフが握られていた。よく磨きこまれており、刀身は鏡のように光っている。
「壊されずに帰りたければ、私を倒すことね」
 咲夜の言葉から敬語がなくなる。客をもてなすメードではなく、一人の戦闘要員がゲイリーの前にいた。
 ゲイリーは光を放つ剣と盾、セイバーとシールドを取り出した。別次元に物資を格納出来るナノトランサーのお陰で、必要な時にいつでも武装できる。
 咲夜がナイフを投げる。十分に訓練されてる投てきだ。まっすぐとゲイリーに向かって刃が襲い掛かる。
 しかし、それは真正面からの攻撃。ゲイリーは冷静に左手に持ったのシールドで防御した。
「やはり、ただ投げただけではダメね」
 咲夜は新しいナイフと共に、一枚のカードを取り出す。
「これならどうかしら? 幻符『殺人ドール』」
 咲夜は宣誓すると、再びナイフをゲイリーに投げる。
 見た目は同じだが全く別種の攻撃であると予想したゲイリーは、不用意にシールドで受け止めようとせず、横にステップを踏んで回避しようとした。
 ナイフは空を切り、ゲイリーの横を通り過ぎる……そのはずであった。
 なんと、ナイフは直角に軌道を変えてゲイリーに襲いかかった。
 不可解な攻撃に対して、ゲイリーは無理やり体をひねって回避する。バランスを崩し、おもわず床に膝をついてしまった。
「どうかしら? 私のスペルカードは」
 咲夜の少し誇らしげな声はゲイリーの『背後』から聞こえてきた。とっさにセイバーを背後に向かって振るうが、そこには誰もいなかった。
 ゲイリーが咲夜の姿を探すと、彼女は最初に現れた位置に立っていた。
「無駄よ。全くの無駄。私の『能力』を知らない以上、アナタの行動は一切無駄」
「そうか……ならばこんな戦いに付き合う必要も無いな」
 ゲイリーは玄関に向かって走る。咲夜の言う能力の正体を瞬時に解析出来ない以上、撤退が最も有効だった。
「だから言ったでしょう。『行動は一切無駄』と」
 玄関の扉を開けたゲイリーの前に現れたのは、美しい庭園などではなく、玄関ホールだった。外に出たのにも関わらず、気がつけば紅魔館の内部に戻っていた。
「二度も言わせないで頂戴。同じことを何度も言うのは無駄よ。無駄無駄」
 咲夜は手品のように何本もナイフを取り出した。
 両手にそれぞれ三本ずつ、計六本のナイフを咲夜が投げる。それは先程の攻撃と同じように、垂直に軌道を変えてゲイリーを襲う。
 シールドで防御し、セイバーで払い落とすものの、ゲイリーに反撃の手立てが無い。
「上手く避けたわね。でも次はどうかしら? 幻像『ルナクロック』」
 再びナイフを取り出した咲夜は、自身の能力を発動させる。
 その瞬間。世界が止まった。
 ゲイリーは彫像のように停止し、燭台の炎も絵のように微動だにしない。
 この世の全てが停止したなかで、咲夜のみが例外として動いていた。
 これが、十六夜咲夜の『時間を操る程度の能力』だった。時間を止めることは当然のこと、流れを遅くするのも早くするのも思いのまま。
 さらには、時間を操る能力に付随して、空間を操ることも出来たので、外に逃げたはずのゲイリーを館の内部に誘導することも出来た。
「突然現れるナイフ。今度は防ぐことができるかしらね?」
 咲夜がこれから行おうとする攻撃は、止まった時間の中でナイフを投げるものだった。投げられたナイフはすぐに時間が止まるが、能力を解除した瞬間、標的に襲いかかるのだ。
 咲夜はゲイリーの方へ歩き出す。離れすぎては相手に回避されるので意味がない。
 だがその時、咲夜に衝撃が走る。
 思わず後ろに飛んで咲夜は距離をとった。
「な、なに? 今の感覚……いえ、ありえないはずよ」
 咲夜はゲイリーと『目が合った』と感じた。つまりは、彼の瞳から意識の線が……視線が向けられていたのだ。
 だが、止まった時間の中でそれは不可能であるはずだった。『咲夜の世界』では彼女以外は時間が止まっていることすらも知ることは出来ない。
 咲夜は能力を解除する。
「……どうした? 攻撃してくるのではなかったのか?」
 まさか、自分と同じ能力が? と、咲夜は疑いを持ち始める。
「見えて……いるの?」
 ゲイリーは黙ったままだった。
「見えているのかと聞いているのよ! ゲイリー・スー!!」
「見えている? 何のことだ」
 嘘を付いているのか。それとも、自分の気のせいか。どちらが真実であるか咲夜はわずかながらも迷っていた。
 咲夜はなおも追求しようと考えたが、すぐに止める。不用意に自分の能力についての情報を流すのは得策では無かった。
 不確定要素は迅速に排除するべき。そう結論づけた咲夜は能力を発動させる。
 主のレミリアからは、「適当に戦って遊んでやれ」と指示されているが、咲夜はゲイリーから紅魔館に不吉をもたらす何かを感じ取っていた。
 ゲイリーは鎧を身につけており、ただ投げつけただけでは完全に破壊することはできないだろう。だが、目は人間と同じく脆そうだった。
 できることならば、直接ナイフを突き刺せば良いのだが、咲夜は止まった時間の中では物質を破壊出来ない。時間が止まっていると言うことは、完全に変化しないということ。形を変えられないのであれば、破壊することなど出来るわけがない。
 例外として、咲夜の肉体が接触している物質の時間は止まらない。だが、ゲイリーに触れて時間停止から除外してしまっては本末転倒であった。
 よって、回避不可能の至近距離にナイフを配置する。そうすれば、確実にこの機械人形の両目を壊せるはずだった。
 咲夜は手を伸ばせば触れられる距離にまで近づいた。彼女はナイフを取り出し、ゲイリーの眼球に向かって投げようとする。
 しかし、止まった時間の中でゲイリーが剣を振るった
 咲夜はとっさにナイフで防御するが、衝撃までは耐え切れず、彼女の体が吹っ飛ばされた。
 かろうじてバランスを取って、無様に床を転がることは無かったが、咲夜は大きな動揺に襲われる。
 その動揺のあまり咲夜の能力が解除される。
「そ、そんな……この私の……『十六夜咲夜の世界』に入門してくる者がいるなんて!」
「くそ! せっかくのチャンスがっ……!」
 止まった時の世界で動き回れるにも関わらず、ゲイリーは動けないふりをしていた。痛恨の表情を浮かべる彼の様子から察するにも、おそらくは、動けるといっても一瞬だろうと咲夜は分析する。
 そうと分かれば、いくらでも対処出来る。冷静さを取り戻した咲夜は、攻撃を再開しようとする。
「そこまでよ。咲夜」
 しかし、突如降りてきた声に咲夜は動きを止める。
 その声はまだ十にも満たない少女のものだった。
 大階段に幼い少女が立っていた。彼女こそが紅魔館の主、レミリア・スカーレットであった。
 背中から生えているコウモリのような翼は、レミリアが人類と同じ姿をした人類でない存在の証明となっていた。
「お、お嬢様……」
「咲夜は下がりなさい。最初は見物しているだけのつもりだったけど……ふふふふ……私も彼と遊んでみたくなったわ」
「……かしこまりました」
 咲夜はレミリアの命令に従い、一礼の後、玄関ホールの隅へと下がる。
「次の対戦相手はおまえか?」
 自分の主に対して礼を欠いた口をきくゲイリーに、咲夜は一瞬不快感を覚えるが、それは彼がレミリアを姿のみで判断していないことを意味していた。
「ええ、そうよ。この吸血鬼レミリア・スカーレットがあなたの相手をするわ」
「吸血鬼?」
「グラールには吸血鬼がいないようね。でもこの戦いですぐわかるわ。吸血鬼がどういう存在なのかを……それに、面白いおもちゃを最近手にいれたの。アナタで試させてもらうわ」
 レミリアは一丁の拳銃を持っていた。それは回転式弾装で、銃身がかなり長い。小柄な彼女が持っていると、まるでライフルを持っているかのように見えてしまう。
「その銃は……!」
「先日、香霖堂で手にいれたわ。たしか……テノラ・ワークスというアナタの世界にある会社が作った武器だったわね」
 その銃をレミリアが香霖堂で購入したとき、咲夜もその場に居合わせていたが、インテリアとして買ったと思っていた。レミリアにとって本来武器など必要無いからだ。
「私はこの銃以外で攻撃はしないわ。ちょとしたハンデよ」
「銃を見せつけておきながら、ハンデとは図々しいな」
「ふふふふ……吸血鬼の闘争を知らないアナタにはそう見えるのね」
 緊張した沈黙の後に、先に攻撃したのはレミリアだった。彼女は長い拳銃の銃身を腕に乗せながら引き金を引く。
 ゲイリーは銃撃を盾で防御する。
 レミリアは階段を降りながら銃撃を続け、ゲイリーはその場を動かないまま防御する。
「意外と難しいのね。思うように当たらないわ」
 弾装の弾を撃ち尽くしたレミリアは、新たな弾丸を優雅なしぐさで装填する。
 その隙に、ゲイリーは剣を構えながら向かって来た。
 レミリアは背中の翼を大きく広げて、真上へ跳躍する。ゲイリーの刃は虚しく空を斬った。
 再装填を終えたレミリアは、空中から雨のように弾丸を撃ち込む。ゲイリーは上に掲げた盾で再び防御した。
「ほらほら、どうしたの? 防御ばかりでは戦いを楽しめないわよ」
 ゲイリーの右手が光る。彼の剣が別のものへと変わり、それはブーメランのような形をした刃だった。
 ゲイリーが剣を三度振るう。すると、三枚の光の刃が空中にいるレミリアに向かって飛んで行った。
 レミリアはダンスのような動作で、ゲイリーの放った飛刃を回避する。彼女の後ろにあったシャンデリアが、ロープを切断されてけたたましい音を立てて床に落下した。
 ゲイリーが攻撃を続ける。レミリアはそれを左右に飛びながら回避し、お返しに弾丸をお見舞いする。
 何度かその攻防を繰り返した後、ゲイリーは剣を水平に構えると、刀身の光が今までよりも強く輝きだした。
 剣から特大の飛刃が発射される。
 レミリアはそれを回避するが、それを見越した二発目の特大飛刃が襲いかかる。先程の攻防でゲイリーは彼女の回避パターンを把握したのだ。
 レミリアは直撃を避けるが、翼の片方を切断されてしまった。しかし、彼女の表情に苦痛の色はない。むしろ歓喜すらあった。
「やるわね! でも!」
 落下するレミリアだが、空中でゲイリーの武器を狙って銃を撃つ。撃ち抜かれた刀身から光が消える。
 武器を破壊されたゲイリーは最初に使っていた剣に戻す。それと同時に、レミリアが床に着地した。
 一気に勝負を決めるつもりなのだろう。ゲイリーが走り出す。
 レミリアは拳銃で迎撃しようとするが、盾を構えたまま突進してくるゲイリーを止めることは出来ない。
 銃が弾切れになると同時に、ゲイリーが剣を振り下ろす。
「これで決着だ!」
 だが、ゲイリーの攻撃はレミリアが素手で刃をつかんで防がれてしまう。
 弾装が空になった銃を捨てて、レミリアはゲイリーを殴りつける。
 ゲイリーは盾でそれを防御するが、想像を絶する怪力に殴り飛ばされ、床を数メートル転がる。
「予想以上の実力ね。この私に『素手』で戦わせるなんて」
 レミリアは掴んでいた剣を投げ捨てる。
 切り落とされたはずの翼が瞬く間に再生して元通りになった。
 吸血鬼を知らなかったゲイリーは大きなミスを犯した。
 妖怪の中でも特に腕力に優れる吸血鬼との近接戦闘は、必ず敗北する運命にあるのだ。
「けれど、もうお人形遊びはおしまいね。せっかくだから綺麗に壊してあげるわ」
 レミリアはニヤリと笑う。口元から牙が見えた。
「何を言っている」
 立ち上がったゲイリーを見て咲夜は驚いた。もはや盾しか無いのにも関わらず、彼の表情に絶望が無かった。
「まだ武器を失っただけじゃないか。俺はまだ戦える。『人間』を余り見下すなよ、吸血鬼。かかって来い。早く! 早く!」
 闘志のこもった力強い言葉をぶつけられたレミリアは笑顔を浮かべた。まるで、誕生日に祝いの言葉を送られたような表情であった。
「素敵だわ! 愛しいくらいに素晴らしい闘志ね。これだから、『人間』との戦いはやめられない」
 レミリアは一枚のスペルカードを取り出した。
「少しだけ本気を出してあげる。神槍『スピア・ザ・グングニル』……アナタにこれをしのげるかしら?」
 レミリアの手に赤いエネルギーが集まる。それは彼女の身長よりも大きな槍の形になった。
「さあ、いくわよ!」
 吸血鬼の少女から槍が投げ放たれる。それは弾丸のような速度でゲイリーに向かって猛進した。
 それに対して、ゲイリーは前へ向かって走り出した。彼はスピア・ザ・グングニルを紙一重《グレイズ》で回避した
 ゲイリーはそのまま拳を叩き込もうとするが、直前で動きを止める。レミリアが出していた二本目のスピア・ザ・グングニルが喉元に突きつけられていたからだ。
 戦いを見ていた咲夜は、自分の能力を使ってもいないのに、時間が止まったような錯覚を覚える。
 レミリアはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、赤い槍を霧散させた。
「もう良いわ。十分気が済むまで戦ったから、これで終りよ」
「なに?」
「悪いわね。本当に、ただ純粋にアナタと戦いたかっただけなのよ」
 ゲイリーも拳を収める。もう闘争の空気では無かった。
 先程とはうって変わって、レミリアは外見にふさわしい無邪気な笑顔を浮かべた。
「咲夜、もてなしの準備を」
「かしこまりました。それでは客室へご案内します」
 直前まで命に関わる戦いを繰り広げていたにも関わらず、咲夜とレミリアはゲイリーを客人としてもてなそうとした。
「僅かな時間でも私を楽しませてくれたお礼よ。そうね、来てもらう方便ではあったけれど、グラールの話をしてもらおうかしら」
「……」
「どうしたの? 早くいらっしゃい」
「……ああ、分かった」
 ゲイリーは半ば諦めた表情で、手招きをするレミリアの元へと歩いていった。
「いやはや、なんとも迫力のある戦いでしたね」
 窓の外からから、ゲイリーの戦いを一部始終見ている三つの人影があった。
 射命丸、アリス、パチュリーの三人であった。
 ゲイリーが紅魔館を訪れる少し前、射命丸とアリスが訪問してきた。射命丸は取材、アリスはゲイリーの観察のために来たと言った。
 レミリアはそれを許可した。パチュリーも異世界について強い関心を示していたため、三人でゲイリーの様子を見る事にしたのだった。
「それでは原稿の執筆があるので、私はこれで失礼しますね」
 射命丸は風のように立ち去り、空へと消えていった。
「やはり思考力があっても人形ね。恐怖心を見せないでただ愚鈍に戦い続けるなんて」
 アリスは自分の予想とは異なるゲイリーの反応に、失望の色を見せていた。
「そうかしら?」
 しかし、それにパチュリーが反論する。
「彼は明確な闘志を見せていたわ。それは十分に心があると思うけれど?」
「一理あるわね。そなれば、もっと観察しなくちゃ。……そろそろ失礼するわ」
「そう」
 アリスも立ち去り、パチュリーは図書館へと戻っていった。





「お嬢様、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
 ゲイリーが帰った後、居間で優雅に紅茶を飲むレミリアに咲夜は問いかけた。
「何?」
「今回の件……なぜ、お嬢様はあの人形を呼び寄せたのですか? 闘争を楽しみたいのでしたら、ゲイリーよりも強い者は大勢います」
「ああ、そのことね。単純なことよ。ここ最近は平和で暇だったからね。私が彼の物語に関わるために呼び寄せたのよ」
「物語……ですか?」
「ええそうよ。物語を創る人間の自己愛の象徴である『ゲイリー・スー』と同じ名前ならば、面白いかどうかは別として、彼から物語が発生すると私は考えている。白玉楼、永遠亭、守矢神社、地霊殿、命連寺、そして、私たち紅魔館。彼は今日、『幻想郷のいずれかの勢力と戦う』運命にあった。だから、私は招待状を出して、紅魔館と戦う運命を確定させたの」
 レミリアはおぼろげながらも近い将来を予知することが出来た。運命など、『最も発生確率の高い結末』に過ぎない。彼女はその確率が、自分にとって面白く変わるよう行動し、いつしか『運命を操る程度の能力』を持っていると言われるようになった。
「申し訳ありませんが、もう一つ質問をさせてください」
「良いわよ。今の私は機嫌が良いからね」
「お嬢様が彼の物語と関わろうとなされるのは分かりました。ですが、そもそもなぜ、彼と幻想郷の誰かが戦う運命があったのですか?」
「それはゲイリーの持っている宿命に関係しているわ。三日前に、八雲のところの狐がやって来たわよね?」
「はい」
 三日前、八雲紫の式神である八雲藍が紅魔館に訪問してきた。レミリアに話があるとのことだった。紅茶を出してすぐに奥に下がった咲夜は、その時の会話の内容を知らない。
「紫は式神を使って、紅魔館を含めた各勢力にゲイリーの宿命について話して回った。それがこの運命の原因よ」
「そのような運命を生み出すゲイリーの宿命とは、いったいどのようなものなのですか?」
「そうね、一度戦った咲夜には教えても良いかもしれないわね」
 レミリアは咲夜にゲイリーの宿命について、藍から聞いた全てを教えた。
「これがゲイリーの宿命よ。たぶん、咲夜の能力に一瞬だけ対応出来たのも、この宿命が原因でしょうね」
「ではお嬢様。八雲紫が彼を幻想郷に呼び寄せたのは……」
「ええ、そうよ。全てはグラールの生物を駆逐するため」
「しかし……ゲイリーの宿命は危険です。どこかで間違えれば幻想郷に大きな厄災をもたらします」
「その心配はないわ。ゲイリーは必ずその宿命と戦うからね」
 忠を誓ったレミリアが断言するので、咲夜はその言葉を信じる。しかし、一抹の不安はどうしても残ってしまう。
「そんな顔しなくても大丈夫よ。なぜならば……」
「なぜならば……?」
「宿命に立ち向かうのが人間の運命だからよ」
 不敵な笑みを浮かべながら、レミリアは紅茶を一口飲んだ。

 第3話へ続く


第2話捕捉
 今回、紅魔館の面々が登場しました。その中で十六夜咲夜とレミリア・スカーレットの能力に関しては、私の個人的な解釈が大きく入っています。

 咲夜の「時間停止中は直接攻撃が出来ない」というのも、ジョジョのザ・ワールドみたいに行動できたら、あまりに彼女が無敵すぎて、幻想郷で彼女に勝てる者がいなくなるからです。また、ゲイリーが時間停止中に一瞬だけ動けたのは、PSUのとある設定を拡大解釈しています。それは、後々の物語で明らかにします。

 次にレミリアの「運命を操ある程度の能力」ですが、東方の設定資料集に「彼女と関わった者は数奇な運命をたどる」と書かれていたので、その記述を私なりに解釈しました。

 あと、紅美鈴が好きな方は、彼女を「門番の赤毛の女性」としか描写しなかったのはすみません。初対面の門番にゲイリーがいきなり名前を聞くのは不自然ですし、美鈴自身が訪問者に「私の名前は紅美鈴です」と名乗るのも違和感があります。なので彼女の名前を劇中に登場させるタイミングが無かったのです。
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by ginseiseki | 2010-05-08 12:01 | 二次創作小説
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