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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 最終章 『save this world』 Act5

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。
 今回のPSPo2ロールプレイは一部オリジナル展開が含まれます







「やった……? 終わった……の? そ、そうだ……ミカは……返事をして、ミカ!」

 光にあふれた世界でエミリアはミカの姿探す。
 
 彼女はすぐに見つかった。しかし、不安が消えなかった。

 その不安は的中した。もうミカはもう共に過ごすことが出来ないと言う。エミリアは涙を流した、無情な家族との別れを悲しんだ。

 だが、ミカはエミリアに笑ってと言う。

 ミカも別れは辛いのだと感じた。ならばせめて笑顔で分かれようと。だから、エミリアは出会ってからからこの瞬間までの全てが肯定出来るために、涙を流しながらも笑顔を浮かべた。

 時間が来た。ミカがエミリアから離れて行く。それと同時に、今まで感じていた彼女の気配が薄くなっていく。

「待って! 待ってよ! 行かないで! 一人にしないで! 私を一人にしないでよ。お母さん!」

 ミカを母と呼んだ瞬間、気がついたら、エミリアはテティの花が咲き乱れる場所にいた。すぐそばにはユートとシズルもいる。

 この風景は”母”の思い出だ。エミリアは確信する。

「おいおい、こりゃどうなってるんだ 敵と戦ってたら、急に花畑になっちまった」

 恐らくマガハラが花畑に変わっているのだろう。別の場所で戦っていたはずのクラウチの姿があった。

 家族を連れて帰ることが出来なかったエミリアは、せめて思い出だけでもと、足元に咲くテティの花を一輪だけ摘んだ。

「鳩美は? エミリア、鳩美がいないぞ!」

 ユートの言葉に、エミリアは自分のパートナーの姿見えないことを知る。

 全員が鳩美の名前を呼び、エミリアの瞳に、再び涙が浮かんできた。まさかミカと同じように彼女の消えてしまったのか。考えないようにしても、心の芯にこびりついた恐ろしさが拭えない。

「皆さん、私はここにいます」

 振り向けばそこに鳩美がいた。どんな苦境に立たされても、常に微笑んでいた、自分に取って姉のような人。そんな人の姿を見つけて、エミリアは思わず抱きついた。

「皆さんを不安にさせてしまったようで、申し訳ありません」

 鳩美はエミリアの頭を優しく撫でながら行った。

「さあ、帰りましょう。私たちの家へ」

「うん」

 空からクラウチの呼んだ迎えの船がやってきた。エミリアは最後にもう一度花畑を見る。一生忘れないよう、記憶に刻みつけるかのように見た。

「ありがとう……ミカ。そして、おやすみなさい。どうか、安らかに……」

 ミカの安らかな眠りを祈って、エミリアは家へと帰っていった。





 それから一年後。鳩美の周囲は多少の変化があった

 ユートはあの戦いが終わった後、カーシュ族の村に戻った。と言っても、プリンを食べるために何かと理由を付けてリトルウィングに来ていた。

 ルミアはエミリアと口喧嘩をしつつも、良き友人であり続けていた。彼女は18歳という若さで教官の資格を取得。ウェーバーの名前に負けないよう、鬼教官として早くもその名を轟かせていた。

 トニオとリィナはリトルウィングの稼ぎ頭として活躍していた。最近は二人の間に子どもが生まれて、より一層がんばっていた。

 チェルシーは、ついに夢である自分の店をクラッド6のリゾート地区で開いた。昔の知り合いに手伝ってもらい、リトルウィングの仕事との両立を果たしていた。

 シズルとナツメは、さすがに罪に問われてしまったが、全ての元凶はカムハーンであったので、執行猶予ですんだ。今は親子でゆっくりと安全な亜空間利用の研究を進めており、エミリアも協力している。

 ウルスラはクラッド6独断操作の責任を取ってスカイクラッドを退社。だが、実際は彼女から三行半を突きつけた。

 しかし、何よりも驚くべきことは、退社後はクラウチと結婚したことだった。

 そして、エミリアの苗字が変わって、今は「エミリア・ミュラー」となっている。つまり、クラウチとウルスラが両親と言うことだ。あの戦いで家族の絆を感じ、法的にも家族になる手続きをしたのだ。

 エミリアは去年までは普通の少女だったのに、今は亜空間研究に協力している関係で、博士と呼ばれることもある。しかし、エミリアは自分の中身が変わっているつもりはないと言っていた。

 エミリアがこの一年間、人つの夢に向かって歩んでいた。それは「有人での亜空間航行」であった。

 亜空間であるマガハラから生きて帰ってきたことで、彼女は有人亜空間航行への希望を見出していたのだ。

「だからね、キミ。ウチとしても亜空間の有人航行の実現を切に願っているのだよ。資金も技術も提供する。一体何が不満だと言うのだ?」

 フレンドリーコーポレーションの社長であるグレイブ・ホーマーは、無駄に高級なイスの上でふんぞり返っている。

「ですから何度もおっしゃているように、エミリアはまだ未成年ですので、一人で外に出すのはこちらとしても心配なのです」

 鳩美はエミリアが進めている亜空間研究の協力を申し出ている企業の社長と会っていた。

 しかし、資金と技術を提供する見返りとして、彼らの施設でエミリアに研究してもらうと言うものだった。

 エミリアが亜空間の研究を始めたことで、彼女の才能が再び公になった。クラウチとウルスラは彼女の才能が悪用されないために細心の注意を払っており、エミリアを研究員として迎えたいと言う企業達の申し出をことごとく蹴っている。最悪の場合、エミリアが誘拐されることもあるからだ。

「いったい何が不満だと言うのだね! 我々を信用していないと言うのか!? まったく傭兵派遣企業は礼儀を知らんな!」

 多くの企業は誠実に説得すれば諦めてくれたのだったが、フレンドリーコーポレーションだけは、しつこくエミリアを勧誘してきた。

 ホーマーはエミリアを丁重に扱うといってはいるが、このような傲慢な態度をとるようなものが運営する会社など信用出来るわけがない。

「……申し訳ありません。今日のところは出直してきます」

 これ以上の説得は無駄だと鳩美は判断した。

「何度説得しようとも、こちらの考えは変わらないよ。エミリアの才能とわが社の技術はグラールにとって必要不可欠だ」

「あの、お気に召すかどうかわかりませんが。貴重なお時間を割いていただいたお礼の品です」

 鳩美はナノトランサーから大きめな箱を取り出してホーマーに渡す。

「ふん! この程度の気遣いは覚えているようだな。ま、こんな物を貰ったところで、考えを変えるほど私は甘くは……」

 箱の中身を見て傲慢な社長の顔色が一気に青ざめる。

「ひっ!」

 彼は思わず箱を落とす。中から人の頭が転がり出てきた。

「その顔をしらないとは言わせないぞ? 貴様がエミリアを誘拐するために雇った男だと言うことはすでに本人から聞いている」

 箱に入っていた生首には明らかな拷問の後があった。

 ホーマーはエミリアの研究に協力すると見せかけて、裏では彼女を誘拐してその才能を自身の利益のために利用する算段を進めていた。

「ついでに調べてみたが、貴様はなかなか面白い商売を裏で行っているようだな」

 有能な技術者を誘拐する強引なヘッドハンティングと、特許を申請する前にライバル企業から技術を盗んで自らのものにする。それが、この男の企業の真の姿だった。

 鳩美はナノトランサーからセイバーを取り出す。

「ま、まってくれ!」

「言っておくが、いくら積まれようとも、私に”鼻薬”は無駄だぞ。私にとって最大の利益は、貴様を殺すことなのだからな」

 鳩美はニヤリと笑う。翌日の新聞にはホーマーがどこぞの強盗に殺されたとする記事が書かれ、鳩美が彼を殺したことは誰も知らない。

 鳩美が刃を振るうと同時に悲鳴が響く。しかし、外には全く聞こえていない。ホーマーが悪事を行うために、社長室を防音処理を施していたからだった。

「ふふふふふ、今月ですでに3人か。まったく、毎日が充実して怖いくらいだな」

 ホーマーの死体を見下ろしながら鳩美は笑う。

 今回が初めてでは無かった。すでに、エミリアの力を悪意をもって利用しようとする輩は、すでに何人も始末している。ホーマーもその一人に過ぎない。

 鳩美はこれからもエミリアを守り続ける。彼女の力を狙っている者たちと戦い、邪悪を殺す愉悦を永遠に感じつづけるために。


 The END
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by ginseiseki | 2010-01-27 22:11
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