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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 最終章 『save this world』 Act3

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。









 空間に入った直後、鳩美達は無数の視線を感じた。しかし、その視線を出している者は見当たらない。この空間に存在する旧文明人たちの精神が発した視線なのだろう。

「お前達の力は予想外だった。まさか、オルガ・アンゲルスを使うことになるとは」

 その他大勢の視線とは異なる、強烈な威圧感を放つ存在が現れた。カムハーンだ。

 カムハーンの声は、突如現れた巨大なスタティリア発せられた。

 四本の腕と巨大な翼。見るものが見れば神々しい神の象のような姿だ。しかし、そこから発せられる強烈な邪悪な気配はそれが敵であることを物語っている。

「いい加減、ミカさんを返してはいただけませんか?」

「ミカは死んだ! その意識は闇に食われ、微塵も残されていない!」

「でも、あたしは感じる! ミカの想いを!」

「想い……またその言葉か。耳にするだけで不愉快だ、怖気が立つ! 万物は、この太陽王の前にただ、平伏し、屈服し、畏怖せねばならんのだ!」

 鳩美はカムハーンのことを、どうして自分の言うことを聞いてくれないのかと、駄々をこねる子供のように感じた。

「翼をもちいて太陽に刃向かう者は、万事に置いて、落ちるが運命! 貴様らの翼、私が溶かしつくしてやろう!」

「そうですか。ならば太陽を自称する王よ。何を持ってそれを太陽とするのか、あなたに思い知らせて差し上げましょう」

 オルガ・アンゲルスが巨大な腕をたたき落としてくる。鳩美は紙一重でそれを避け、その腕を足場にして、頭部の方へと跳ぶ。

 鳩美は取り出したセイバーを逆手に持って、頭部に突き刺す。

 続いて、エミリアに補助テクニックをかけて貰ったシズルとユートが敵の胸部に十字の傷を付ける。

 しかし、オルガ・アンゲルスはダメージを受けた様子はなく、鳩美を腕で払いのけた。

 床に着地した鳩美が敵を見上げる。オルガ・アンゲルスは頭部に刺さったセイバーをあっさりと引き抜いた

「忘れたか! ここは我の領域。再生など思いのままだ!」

 頭と胸の損傷がみるみるうちに再生されて行く。鳩美達は立て続けに攻撃するが、相手の修復速度のほうが早かった。

 ユートが炎のミラージュブラストで、胴体に風穴を開けた。すぐに塞がった。シズルが腕を切断する。一瞬で新しい腕が現れた。

 圧倒的な再生力。一瞬で消滅させれば、修復も何も無いのだろうが、それは不可能なことだ。

 絶対的な勝利を確信して笑うカムハーンだが、突如その笑い声が止まる。損傷の修復が急に停止したからだ。

「亜空間の制御が止まる……組織の再生も……だと! 何だ、何が起きている……!」

「エミリア……」

「ミカ!!」

 優し心を感じさせる言葉が聞こえてきた。ミカの声だ。同時に、甘い花の香りも。これがテティの花の香りだろうか。

「私の力で、カムハーンから亜空間の制御を切り離しています。私はもう再生も、復活も不可能ですが……このヒトを連れて行くことぐらいは出来ます」

 ミカには覚悟がこもっていた。家族を守るために、邪悪を道連れにして死ぬ覚悟があった。

 カムハーンは「想い」に力があるものかと必死に否定する。

 鳩美はこれこそが邪悪にふさわしい末路だと思った。自らが否定する力に完膚なきまでに敗北させられ、屈辱にまみれて抹消されるという罰だ。

「でも、でもっ……それじゃあミカも、一緒に……!」

 鳩美は容赦なくミカもろともカムハーンを殺せるが、エミリアはそうではない。ためらいを見せる彼女に、ミカはそっと語りかけた。

「いんです、エミリア……もともと、私たちがここまで生きていたのが、自然の摂理に反することなのですから。それに、私はもう満足です。かつて得られなかった本当の『家族』をここでは得ることができた」

 ミカの言葉に後悔は全く無かった。

「せめてもの恩返しに、私の大事なヒトたちが住む世界を守らせてください……お願いです、エミリア」

 カムハーンは黙って倒されるつもりはなく、亜空間の制御を取り戻そうと躍起になっていた。徐々に、ミカの言葉から余裕の色がなくなっていく。

「エミリア、迷っている時間はありません! 早く……早く私たちを……救って」

 エミリアは涙を流す。この歳の少女ならば当然だ。鳩美のような心を持たない限り、家族を殺さなければならないのは辛い。

 だが、エミリアは決意した。ミカと同じように覚悟した。手の甲で涙をぬぐい、そして構える。

 カムハーンがミカに気をとられていた隙に、鳩美達はすでにオルガ・アンゲルスを取り囲んでいた。

 そして、鳩美達は一斉にミラージュブラストを放った。

 炎が闇を焼き尽くし、氷が刃となって邪悪を切り裂く。雷が無数の槍のように独尊を貫き、大地を砕くほどの衝撃が傲慢を叩きのめす。

「ば、ばかな……太陽王たるこの私が……支配者たるこの私が……こんな……こんな…」

 カムハーンが憑依していた依代が、風化したようにボロボロと朽ち果てて行く。そして、熱もなく、音もない、光だけの爆発が起こった。

 Act4へ続く
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by ginseiseki | 2010-01-25 22:57
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