銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 最終章 『save this world』 Act2

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。







 クラウチの操縦する船がマガハラに突入する。強烈な光で一瞬視界が遮られるが、次の瞬間にはニューデイズ様式の城が見えた。

「みんな、大丈夫!?」

「ああ、ウルスラか。こっちは無事に突入完了したぜ。今のところ、身体も大丈夫だ」

 通信機も無事機能している。クラウチはマガハラないの状況をウルスラに報告した。

 その報告をナツメも聞いており、彼はこの城のことを知っていた。

「その城郭は、幼いシズルを連れ、幾度となく訪れた私たち親子に取っての思い出の場所なんだ」

 シズルの記憶がマガハラで再現していると言うことは、まだ彼の意識はカムハーンに殺されていないと言うことかもしれない。

「おそらく、シズルは天守閣にいる。幼いシズルが最も好きだった場所だ」

 天守閣は城主のいる場所だ。攻城戦という王を殺すには最もふさわしい状況に、鳩美は内心で笑った。

 鳩美達は正門の前に立つ。門は内側からかんぬきをかけてすらいなかった。いつでもかかってこいと言うカムハーンの意思表示だろう。

 門を開け突入する。待ち構えていたのは鳩美が初めて見るSEEDだった。

 大鎌を持ったSEEDが鳩美に襲いかかるが、軽やかにかわして返り討ちにする。

 今まで戦ってきた中で、鳩美は人間に近いSEEDを見たことはある。しかし、この大鎌のSEEDはほぼ完璧な人型をしている。

 その時、巨大な腕が鳩美達に向かって飛んできた。全員が左右に別れて回避し、攻撃してきた方向をみる。

 それは、SEEDと同じような怪しいフォトンの光を放っているが、生命を感じるような姿ではなく、むしろレリクスのスタティリアに近かった。

 そして、奥には数匹の四足獣型のSEEDがこちらを威嚇している。これも初めて見るタイプだ。

 鳩美達が初めて見る、四種類のSEED。今までのSEEDとは何処か異なり、まるで”別の世界からやってきたようだ”と思えるほどだ。

 だが考えるのは後だ。今は、目の前の脅威に対処しなければならない。おそらく一万年前に現れたSEEDを、カムハーンが亜空間で再現したのだろうと鳩美は片付ける。

 鳩美達は走る。一心不乱に駆け抜ける。退路を考える必要はない。どのみち逃げたところで敗北するだけだ。

 迫り来る敵をけちらし。鳩美達は天守閣に到達した。

 天守閣では禍々しい気配に満たされており、カーシュ族でない鳩美でも、その悪意を肉眼で見ることができた。

 そこでは鳩美達が今まで戦ってきた敵が、再び襲いかかってきた。

 スヴァルティア。思えば、こいつに殺されたのが始まりだと、鳩美は最初の戦いを思い出す。

 SEED・アーガインとキャリガイン。あの時はまさかSEEDと再び戦うとは思ってもみなかった。

 カムハーンは愚かにも、自らの懐を守るのを、全て鳩美達に敗北した者たちに任せてしまった。そんな相手では、些細な障害程度の役割しか果たせなかった。

 鳩美達は最上階に到達した。目の前にはひときわ立派な扉がある。この先に鳩美の敵がいる。

「ようこそ、我が居城」

 この城も、かつては本来の城主がいたはずだ。それを『我が居城』と我が物顔で陣取るのは実にカムハーンらしかった。鳩美は心の底から嫌悪感が湧き出た。

「いえいえ、ご招待いただきありがとうございます。早速ですが貴方様の御首を頂戴に参りました」

 鳩美は満身の嫌味を込めて、深々と頭を下げて挨拶した。

「貴様、まさかこれで私を追い詰めたとでも言うつもりなのか? 笑わせてくれる!」

 カムハーンは高らかに笑った。いずれ、それが恐怖に塗り変わるとも知らずに。

「一つ聞くわ。ミカはどこにいるの?」

 エミリアがカムハーンに詰問する。

「それを聞いてどうする?」

「ミカはあたしの家族なの。一緒に連れて帰るに決まってるでしょ」

 カムハーンはエミリアの問に答えずただ、嘲笑うだけだった。

「もういい、黙って。……ミカは?」

 エミリアがもう一度問いただして、ようやくカムハーンは答える。

「マガハラを包んでいた『死』へ誘う意識は、誰のものだと思う? とうにマガハラに食わせたわ! 数多の悪意に揉まれ、最高の『死』を演出していたぞ!」

 これから自分も全く同じ目に合うというのに、カムハーンは極限の余裕を見せて笑う。先程からこの男は笑っているばかりだ。笑うだけで王が務まるとは、存外に気楽な仕事なものなのだなと鳩美は思った。

 カムハーンの言葉にエミリアはワナワナと体を震わせた。

「許せない! カムハーン、あんただけは……あんただけはァッ!!」

「気迫だけは一人前だな! ならば私の力、存分に味わうがいい」

 カムハーンがが三人に分身する。おそらく新たに現れた二人は亜空間で作った、形を持った幻影だ。

「中央の一人は私が相手をします。皆さんは残りの二人をお願いいたします」

「鳩美!?」

「エミリアさん。私のような女でも腹をたてることくらいあるものですよ?」

 エミリアは鳩美の微笑を見て押し黙る。素直に指示を聞いてくれて助かった。

「ほざけ! 『消え往く存在』ごときが! 私の手によって、直々に消してやる!」

 三人のカムハーンがセイバーを手に、一斉に飛びかかる。

 そのうちの一人に鳩美は対抗した。太刀筋は早い。達人と言っていいだろう。しかし最速ではない。カムハーンの剣には心がない。どんなことがあろうとも、敵を倒したいと言う殺意が宿っていない。

鳩美は両手の武器を捨てる。そして、カムハーンの右手首をつかみ、腕を捻る。

 骨を折った確かな感覚。どうやらこのカムハーンが正解のようだった。

カムハーンが苦痛の呻きを上げる前に、鳩美は次の行動に移る。鳩尾に向かってえぐりこむように拳を叩き込み、腹を抑えようと前かがみになったタイミングで、頭に向かって回し蹴りを叩き込む。

ゴロゴロとカムハーンが床を転がる。

「ば、ばかな……私が、敗れるというのか…… この太陽王が……敗れる?」

 すでに分身の二人も、エミリア達によって倒されている。

「これが現実です。王を名乗る人間は現実が大好きでしょう? さぁ思う存分現実を受け入れてください」

「黙れ、黙れ黙れ黙れェッ! 私は最強だ!!私は王なのだ!! 貴様たちなどに……負けるかァッ!!!」

 カムハーンは折れた右腕から左手にセイバーを持ち替えて、鳩美を斬りつけようとする。しかし、突然苦しみだした。

「このときを待っていた。お前の力が弱まるときを……ずっと、待っていたぞ!」

 急に言葉から傲慢さが消える。シズルの精神が現れたようだ。

「バカな……貴様の意識は消し去ったはず……なぜ、我が内に残っている……!」

「ほとんど消えていたさ……だが、アライブのなかにこもっていた僕を想う優しい心が……」

 おそらくその想いとはナツメのものだろう。全ての悪党が「たかが」と見下す親子の情が、シズルの精神を奮い立たせたのだ。

 シズルとカムハーンの精神が一つの肉体の主導権をかけて戦いを始めた。そして、暫くすると力を失ったように倒れた。

「あいつの中からどす黒い気が消えた! カムハーン、にげたのか!」

「正真正銘の、シズル・シュウです。皆さんには……ご迷惑を……」

 同じ顔だというのに別人のような印象を受ける。カムハーンとはことなり、シズルの精神は平和的な空気があった。

「まずは治療が必要です」

 鳩美は法撃武器を取り出して、自分が折ったシズルの腕を回復テクニックで治療する。テクニックは得意と言うわけではないが、治りやすいように骨を折ったので問題ない。

「シズルさん。カムハーンがどうなったかわかりますか?」

 治療を続けながら鳩美はシズルに尋ねた。非常に残念なことにはなるが、シズルがカムハーンの精神を殺したと言うのならば、それに越したことは無かった。

 シズルの治療を終えたちょうどその時、城全体が鳴動しだした。

「なっ……なんだ、何が起こってる!」

 ベテランのクラウチでも危険だと感じるほどの気配がこの振動にあった。

「このにおい、テティの花のにおいだ!」

「それは本当ですか、ユート君!?」

「あの穴の先! あの中から、ミカのにおいがする!」

 いつの間にか、天守閣にはようやく人がくぐり抜けられる程度の、小さな亜空間が生まれていた。ユートはその亜空間を指さして言った。

「だが、忌むべき気配もある。カムハーンめ、往生際が悪い! 旧文明人の集合意識の中に逃げたか!」

 直前まで憑依されていたからだろうか。シズルは亜空間の中からカムハーンの存在を感じ取っていた。

 戦いはまだ終わっていない。しかし、シズルの言葉は鳩美に取って朗報だった。カムハーンが旧文明人たちの居る場所に逃げ込んでいるのならば、”望む目的が達成される”からだ。

 階下から異形の咆哮が聞こえてきた。どうやら、退路を防ぐためにカムハーンが呼び出したのだろう。

「なるほど、足止めに必死ってことか。おい、シズル。お前さん、戦えるか?」

「あまり万全とは言えないが……でも、カムハーンは僕が討つ! 自分の不始末は自分でつける」

 クラウチの問いに、シズルはカムハーンが使っていたセイバーを拾い上げて答えた。

「ガキども、ここは俺が引き受けてやる! お前達はあのカン違いな王様を、もう一度ぶっとばしてこい!」

「分かりました。カムハーンの事はお任せください」

 鳩美は、エミリア、ユート、シズルの三人を連れて、亜空間の中に飛び込んだ。

 Act3へ続く
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by ginseiseki | 2010-01-24 13:35
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