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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 第9章 終わる銀河 Act2

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。







 リトルウィングへと戻り、準備を進めている途中で、鳩美はウルスラからカフェに来るように言われた。

 特に重要というわけではない。息抜きの雑談のようなものだった。カフェにはウルスラだけでなくチェルシーもいた。

 ウルスラはクラウチの過去を語りだした。

 かつてのクラウチは腕の良い刑事であったそうだ。しかし、自分の逮捕した男が逃げ出し、再び犯した犯罪によって妻子を失ったと言う。

 それからのクラウチは酒場で酒に溺れる日々を送った。その酒場で働いていたチェルシーによれば、彼の姿を見たウルスラは、「私を失望させるな」と、そうとう激昂したらしい。

「あ、あのときのことは忘れなさい!」

 照れ隠しに喉が乾いた言って、ウルスラが飲み物を取りに行く。その間に、チェルシーが鳩美にささやくように言った。

「ここだけの話だケドね。ウルとシャッチョサンは、もともと付き合ってたノヨ」

 クラウチ、ウルスラ、チェルシーの三人は昔からの友人同士だった。

 仕事が忙しくなり、気がつけば会わなくなったクラウチとウルスラ。久々に再会してみれば、かつて愛した男は結婚して幸せな家庭を築いている。

 ウルスラはクラウチが幸せならばそれで良いと、酒を飲みながらチェルシーに言った。

 かつて愛した男だからこそ、不幸を理由に堕落しているのが許せなかったのだろう。見かねたウルスラが、軍事会社を立ち上がて、クラウチを社長に任命したのが、リトルウィングの始まりだった。

「……あれ、チェルシー? 鳩美まで、こんなところで何してるの?」

「おかえりなさい、エミリアさん。もう体は動けるのですか?」

「うん、まあね」

 後はナツメとユート次第だとエミリアは言う。彼女はクラウチの姿を探す。カムハーンの居場所が分かったと言うのだ。

「……それ、詳しく聞かせてもらえる?」

 クラウチは同盟軍に出向いているので今はいない。ウルスラが代わりに話を聞いた。

 インヘルト社にはナツメとシズルしか知らない施設があり、そこが使われている形跡が発見された。

 仮死化現象の対抗策は根本的な解決には繋がらない。全てを終わらすにはカムハーンを抹殺する必要がある。もしも、その施設に敵がいるのならば、行かなければならない。

「クラウチがいないのなら、代わりに私たちが出るまでよ。チェルシー、支度しなさい」

「ウルスラさんならともかく、チェルシーさんもですか?」

 ウルスラは以前にクラッド6が襲撃されたときに、その実力を鳩美は目の当たりにしている。しかし、チェルシーが戦う姿は想像も出来なかった。

「失礼ネ。ダンサーの前は、軍にいたのヨ。ウルとはその頃からの飲み仲間ネ!」

「そ、そうだったのですか」

 ウルスラが仕事に悩んだとき、いつもチェルシーに相談していたが、どうやら二人は旧友ではなく戦友の間柄であったようだ。

 目的地の施設は、レオル・バディアと戦った場所と同じで、海底に造られていた。専用列車で行く以外に方法はない。

「ねぇ、これ、インヘルト社の車両だよね? ワナだったりしないかなぁ……」

「あらあら、エミリアさん」

 鳩美はにっこりを微笑む。

「もちろんワナですよ。それ以外に考えられません」

「え!? ワナってわかってて乗り込んだの!?」

「他に方法がないから仕方ありません。それに、あえてワナに飛び込んでそれを打ち破るのは、殿方のロマンですよ」

「鳩美……ここには女しかいないのだけど……」

 もちろん対策はきちんと用意してある、すでにチェルシーが車両内の構造はもちろんのこと、敵が伏兵として用意したマシナリーの機種までを調べて上げている。

 しかし、まさか爆発物まで用意しているとは思わなかった。大型の貨物車両にコンテナが一つだけ鎮座している。あまりに露骨だ。

この列車や唯一の移動手段。木っ端微塵にしてしまえば、カムハーン自身も帰り道がなくなる。すでに敵は別口の移動手段を用意していると見ていい。

「ウルスラさん、そろそろではないでしょうか?」

「そうね、それなりに時間も経っているし……」

 突如警報が鳴り出す。エミリアは動揺するが、鳩美達は予め予見していたので冷静さを崩さない。

「それじゃみんな、なるべくハデに動き回って!」

「はい、ウルスラさん」

 隣の車両からマシナリーが大挙して押し寄せてくる。車両に仕掛けられば爆弾は引火しやすいタイプだ。敵の攻撃の余波で爆弾が爆発しないよう、注意しながら戦う。

倒した敵の数がちょうど半分ほどになったとき、攻撃の手がやんだ。鳩美達はいずれくるであろう第二波に備えて、今の戦闘で武器が故障していないか確認する。

「二人ともなんであんなに余裕なの? あたしはクタクタなのに。いままでのでけっこう鍛えられたと思ってたんだけど……ちょっとショック」

 初めの頃と比べてたしかにエミリアは成長したが、まだ街のチンピラを叩きのめす程度の力でしかない。

「そうでもないわ。エミリアもずいぶん動きがよくなってるし、体も鍛えられてるとおもうわよ。ただ、私たちと比較しないほうがいいだけ。軍の中でもとびきり厳しいところで鍛え抜かれてきたからね」

「アレはひどい日々だったヨー。あの時のこと思い出せば、何が起きても耐えられるネ」

 レベルの低い傭兵派遣会社では、我流やにわか仕込みの訓練しか受けていないアマチュアが多い。しかし、ウルスラとチェルシーのそれは、間違いなくプロフェッショナルの動きだった。

「もしかして、その軍隊の中におっさんも混じってたりしなかった?」

「どうして、そう思ったの?」

「いや、ウルスラさんの動きとおっさんの動き、似てるような気がして。対になってると言えばいいのかな?」

「……ええ、そうよ。クラウチは一時的にウチの部隊で訓練していた時期があったわ」

 クラウチは刑事だが、凶悪犯を逮捕するために、軍隊で訓練をうけるというのはそう珍しいものではない。

「私とアイツが知り合ったのも、その時。当時の私はガチガチの規律女で、あのちゃらんぽらんが許せずに、何度もケンカしてた……」

 ウルスラは過去を見るような目をした。そんな彼女にエミリアは何か話しかけようとするが、鳩美はそれを止める。

「鳩美?」

「エミリアさん。ウルスラさんのような方が昔を考えている時は、そっとしておくべきですよ」

「ハハハ、大人って複雑だな」

 鳩美達は装備のチェックを終えた。どこも故障していない。まだまだ十分に戦える。

「後方車両から熱源イッパイ、こっちに近づいてくるヨ」

 すでに敵を倒したと油断したところを、後ろから攻めるつもりだったのだろう。後ろの車両からまたしても大量のマシナリーが押し寄せてきた。

「……時間的にはそろそろかしら。それじゃ、チェルシー。景気づけに一杯やるわよ」

「ハーイ! ボトル一本、入りマース!」

 チェルシーは手のひらを高々と掲げて、SUVウェポンを呼び出した。彼女の周りに酒瓶の形をした小型のビーム砲が何十本と浮かんでいる。

 まるでシャンパンのコルク栓を抜いたかのように、ビームがマシナリー達に殺到する。宴会のうようにハデな攻撃だが、チェルシーは正確に敵のみを攻撃して、車両へのダメージを最低限に抑えていた。

 もう敵が現れる様子もない。チェルシーに確認すると、今ので全ての敵を倒したという返事が帰ってくる。

 その時、列車が止まった。

「定刻通りですね、ウルスラさん」

「ええ、上手くいったみたいね」

「あの、鳩美にウルスラさん。いいかげん説明して欲しいんだけど」

 敵のコントロール下にあったはずの列車が、何故止まったのか分からないエミリアだった。

「ウルスラさん、そろそろ種明かしをしてもよろしいのでは」

「そうね。それじゃみんな、私についてきて」

 鳩美達はウルスラに連れられて、先頭車両の運転席へとむかった。

 Act3へ続く
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by ginseiseki | 2010-01-20 21:28
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