銀星石のブログ

ginseiseki.exblog.jp

銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 第7章 たいせつなもの Act1

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。






 エミリアが失踪してからはや三日、彼女の消息は未だにつかめなかった。クラウチが言うにはコンピュータをハッキングして、痕跡となるデータを全て消しているとのことだ。

 シズルはエミリアを狙っている。反抗期の家出とはワケが違うのだ。彼女が奪われてしまったら、天秤が相手側に大きく傾いてしまうかもしれない。

「一刻も早くエミリアを保護するために、リトルウィングの正式な任務として、エミリアの捜索を行うことにする」

 鳩美はユート共にエミリアの捜索を命じられた。クラウチは「引き受けてくれるな?」と尋ねるが鳩美はイエス以外の答えを用意していない。

「正直、一番頼りになるのは、ずっと一緒にいたお前だ……頼むぜ」

 鳩美はクラウチの顔を見てあることに気がついた。今、彼が何を思っているのかを如実に語っている表情だ。

「ええ。それでは言ってまいりま……」

 その時、鳩美はめまいを覚えた。たちくらみのように目の前が暗くなる。

「……あたし、バカだよね。ユートやルミアに、あれだけ仲間がどうだこうだって言っておきながら……あたし、ひとりぼっちになっちゃった……」

「あれは何かの聞き間違いだと思います。貴方は、今までずっと頑張ってきました。仕事を外される理由なんて無いはずです」

 視界が戻ったかと思えば、落ち込むエミリアと、それを慰めるミカの姿が見えた。幻覚かと鳩美は疑ったが、それにしてははっきりと見えすぎている。

「なーんて、昔ならこれで諦めちゃってた。でも今は、まだ……諦めたくない」

 先程までうなだれて落ち込んでいるように見えたエミリアだが、その瞳には明確な目的を持っていた。

「……みんなが認めてくれるような仕事をやりとげれば、またあたしを必要とおもってくれるはずだから……例えば、インヘルト社の悪事を全部あばいたり、とかね」

 止めろと目の前のエミリアに言おうとした鳩美だが、声が出なかった。このままエミリアが勘違いしたまま暴走してしまえば、敵のとっては絶好の好機となってしまう。

「……い、おい! どうしたってんだ、おい!」

 クラウチに肩を揺さぶられて、鳩美ははっと我に返る。

「クラウチ社長……今、エミリアさんの姿が見えました。どうやらどこかに向かっているようです」

「なんだ……? お前……エミリアの居場所がわかるのか?」

「はい」

 鳩美は今見たものを詳細に話した。エミリアがいる場所はパルムの何処かだった。

「……そのあたりはインヘルト社の機密地域じゃねえか、あのバカが!」

「ちょっと待ってクラウチ。今の話、信じちゃっていいの?」

 ウルスラが言うように、。鳩美自身も客観的に考えれば、全く信用出来ない話ではあ。しかし、他に手がかりはなかった。

「……インヘルト社へ捜索かけるってなると警察権が必要か……めんどくせぇが、仕方ねえ! おい、チェルシー。ガーディアンズに連絡だ! 総合調査部の一番えらいのを呼び出せ!」

「リョーカイネ!」

 ガーディアンズからの返事を待っている暇はない。鳩美達は急いで、パルムのインヘルト社機密地域へと向かった。

その場所は湖の近くにあり、ピクニックでくれば実に心地よい場所だった。しかし、鳩美達には穏やかな自然を楽しむ余裕など無い。

 現地ではすでに二人のガーディアンズが待っていた。マヤ・シドウと名乗るニューマンと、ルウというキャストだ。

「依頼内容の説明は受けています。リトルウィング社員の捜索ですね」

 ルウの淡々とした言動から、鳩美は彼女が若いキャストであることが分かった。無感情と思われがちな彼らだが、二十歳を過ぎた辺りから、生身と変わらない感情を持ち始める。

「名前は……エミリア? ……エミリア……まさかね……」

 一方、マヤはエミリアの名前を聞いて、なにか思い当たることが節があるように見えた。

 しかし、そのことを追求するのは後だ。大まかな場所は分かったものの、まだ捜索場所を絞り込めていない。

「……においがするぞ。これ、ミカのにおい……テティの花のにおいだ!」

 ユートがある方向を指さして声をあげる。

「エミリアは、あっちにいるぞ! みんな、ついてきて!」

「ええ、行きましょう。さぁ、ガーディアンズのお二方も早く」

 非科学的だが、ユートの感覚はいくつかの実績がある。所詮偶然だと罵るような凡庸な考えはせず、鳩美は彼を信じた。

(エミリア、流石に今回はお痛が過ぎたな。見つけたら覚悟してもらおう)

 鳩美はユートとガーディアンズとともにパルムの湖畔を進む。すると、まるでインヘルト社の番犬のように、凶暴化した原生生物が現れてきた。

 協力者であるガーディアンズの二人の腕前はルミアよりも遥かに上だった。聞けば、第二次封印戦争からのベテランらしい。群れをなして襲いかかる敵をことごとく粉砕して行った。

「敷地内に原生生物がいるってのもそうだけど、どうしてこんなに凶暴化しているの……?」

「この攻撃性の向上は、以前報告を受けた、亜空間発生による原生生物への影響に酷似しています」

 マヤの疑問にルウが答える。キャストの記憶力は確実だ。彼女の言うことが絶対とは言えないが、限りなく正解に近いだろう。

「亜空間の実験には政府への届出が必要なはず……ますます怪しいですね」

「ええ……それにしても、流石に現場はつかれるわね」

 体力が少ないニューマンと言うこともあるのだろう。実力は確かだが、マヤはすこし息が上がっていた。

「ですから、今回は私一人で行くと提案したのです」

「研究部だってガーディアンズよ。人が足りないだったら、ちゃんと現場の手伝いもしないとね。それに、私も気になることはあったし……」

「気になる……ことですか?」

 鳩美が尋ねたマヤの気になることというのは、ガーディアンズでも失踪者事件が発生していると言うものだった。どうやら雪山の一件だけでは終わっていなかったらしい。

「……そういえば、この前のルミアの報告には、失踪者発見時にSEEDが出現したってあったかしら。信じがたい話だけど、あの記述も気になるところよね」

 亜空間は記憶を具現化する効果がある。ルウはあくまでデータ上の話というが、マヤは今回の騒動はなにか超常的な力が絡んでいるかもしれないと考えていた。

「……この先、きもちわるい空気が流れているぞ」

 その時、ユートが会話を遮るように声を上げた。

「この空気をぼくは知っている。雪山の洞窟のときと同じだ……すごく、イヤな空気だ……!」

「あの時と同じですか? ということは、まさか……」

 ともかく、ユートが感知した方向へと進む。そこは外観がボロボロで、いかにもすでに使われていない施設があった。しかし、ここには誰もいないと思わせるのが、悪事を画策するための定石だ。その証拠に、侵入者を阻むトラップはしっかりと作動している。

 施設内では予想通りSEEDが徘徊していた。まるでVRのターゲットと戦っているような感覚は、雪山の時と全く同じだった。

「……警告。周囲に異常なフォトン反応があります。皆さん、気をつけてください」

 ルウの言葉の直後に、鳩美達は光りに包まれ、周囲の景色が一変した。

 そこはレリクスのようだった。鳩美は傭兵の仕事で何度か遺跡調査をしたことがあるが、ここは今までとは違った雰囲気を持っていた。

「この景色はリュクロス!?」

 マヤが驚いて言う。

「……解析完了。VR等による虚像ではありません。これは、実体です」

 しかし、リュクロスは三年前に破壊されているはずだ。あるはずも無いものが鳩美達の前に現れている。

「ミカの匂いがすごく強くなった! この奥に、エミリアがいるぞ!」

「ユート君。道はわかりますか?」

「まっすぐ、奥からにおってる……ずっとずっと奥だけど、まちがいなくいる!」

 この場所が本当にリュクロスがどうかは、鳩美にとって些細な問題だ。エミリアを見つけ出してからゆっくりと考えればいい。

 鳩美は蘇った暗黒惑星の奥へと進む。

 Act2へ続く 
[PR]
by ginseiseki | 2010-01-11 19:24
ブログトップ