銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 幕間

注意 今回のPSPo2ロールプレイは完全に銀星石オリジナル展開です。





 俺の名は黒霧翔。リトルウィングで傭兵をしている。漆黒の銃撃者《スイーパー》などと呼ばれる時があるが、俺は他人が名付けた二つ名にたいして興味はない。

 俺が赤木鳩美と初めて出会ったのは数年前の事だ。

 当時の俺はガーディアンズに所属しており、犯罪者相手に何度も修羅場をくぐり抜けていた。
 
 SEEDがまだ来襲していないグラールは、一見平和そうに見えるが実はそうじゃない。質の悪い悪党ほど影に潜むのが上手いものだ。
 
 ある日の俺は、パルムで活動を続けるローグスを捕まえる作戦に参加していた。このローグスと言うのがヘドが出るくらいの悪党で、女子供にはとても話せないような犯罪に手を染めていた。
 
 ローグスのアジトである、パルムの雑居ビルに入ったとき、俺達は銃弾が雨あられと飛んでくると思った。しかし、薄暗い隠れ家はしんと静まり返っていた。
 
 ゆっくりと、油断なく中へと進んで行くと、むせるほどの濃い血の匂いが漂ってきた。
 
 ローグスのアジトには死体しかなかった。どの死体も頭部をひどく破壊され、親でも見分けがつかない有様だ。切り傷や銃創が無いことから、恐らくウィップで殺されたのだとわかる。
 
 ローグス同士の抗争だろうか。俺達は手分けして中の様子を調べて行く。
 
 その時、俺は近くから人の声を聞き取った。
誰かいる。だが、近くに仲間はいない。呼びに行ってもいいが。その間に相手に逃げられるかもしれない。
 
 ゆっくりと物音を立てないように、声の聞こえてきた部屋の扉を開ける。
 
 中では男が倒れており、その頭を誰かに踏みつけられていた。間違いない。この雑居ビルをアジトとするローグスの親玉だ。

「ひ、ひぃぃぃ! た、助けてくれ。ここにあるお宝は全部やるから!」
 
 悪党の大将は、あろうことか涙を流しながら命乞いをしていた。両手両足が折れているのか、いびつな形に曲がっている。恐らく、男を踏みつけているやつがやったのだろう。
 
 ローグスの親玉の頭を踏みつけているのは女だった。年は俺と同じに見える。十六、七くらいだろう。

「残念だが、私が欲しいのは金ではない。貴様の命だ」
 
 長い黒髪でなかなかの美人に見える。清楚な笑みを浮かべればいくらでも男がついてくると思うが、その顔に浮かべれている笑みは、この俺ですら恐ろしさを感じるほどだ。

「や、やめろ! やめてくれ! やめ……」
 
 黒髪の女は足に力を込めて、ローグスの親玉の頭を踏みつぶした。ぞっとするような笑みを浮かべたまま、まるで虫けらのように殺した。

「だれだ」
 
 女がこちらの存在に気がついた。腹をくくった俺は、愛用のブラックバルズを構えて、女の前に出る。

「……ガーディアンズか」

「ここはお前がやったのか? 何にせよ、事情を説明してもらうために出頭してもらうぜ」

「残念だが、私は少しでも邪悪を始末したいのだ。ガーディアンズにかまっている暇など無い」
 
 そう言い残して、女は後ろの窓を破って、外へと逃げた。
 
 急いで俺は追いかけるが、女はウィップを巧みに操って、隣のビルへ飛び移っていた。空でも飛べない限り、もう追いかけられない。
 
 これが、俺と赤木鳩美との最初の出会いだった。その時は、互いの名前を知らず、顔を見ただけの一瞬の邂逅だった。
 
 それからしばらくして、SEEDとの戦いが終わった頃に、俺はガーディアンズをやめてフリーの傭兵になった。理由は、組織の中じゃ自分の定めたルールにしたがって生きることが出来ないからだ。
 
 俺が俺に課したルール。それは悪と戦うこと。しかし、ガーディアンズという組織の中にいたのでは、社会に溶け込み、法では裁ききれない悪を倒すことは出来なかった。
 
 だから俺は一人になった。それから、しばらくは犯罪者相手の暗殺を請け負っていた。
 
 フリーの傭兵として少しは名前が売れ始めた頃。俺はクラウチというビーストから、リトルウィングに来ないと誘われた。
 
 組織の不自由さを嫌というほど味わったので、当然断ったが、クラウチはなおも引き去らがらず、結果さえ持ち帰れば、どんな手段を使おうとも構わないと行った。
 
 組織の力を借りつつ、そのしがらみに束縛されない。その条件を魅力と思った俺は、リトルウィングに入ることを決めた。
 
 俺と鳩美との二度目の出会いは、リトルウィングに入ってから暫くたってからだ。クラウチが海底レリクスの調査から連れ帰った女を、新入社員として向かい入れた時だ。

「赤木鳩美と申します。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

「……ああ」

 初めは、どこぞのお嬢様のような笑みを浮かべる新入社員が、あの時出会った女とは思わなかった。しかし、顔をよく見てみると確かに、あの黒い笑みを浮かべて、ローグスを殺したあいつだった。

「黒霧さん。少しよろしいでしょうか? 二人きりでお話したいことがあるのです」
 
 そう言われて、人気の無い場所に行ったとき。さっきまで穏やかな笑みを浮かべていた女から、強烈な殺気が放たれた。

「忠告しておく。ここであの時見たことは口外するな。私の本性についてもだ。もしも口を開いたときには”不幸な事故”が起こることになるぞ」
 
 見ただけで人を殺せるかもしれない視線。だが、そんなことで俺は動じたりしない。

「心配するな。俺は口の堅い男だ。それに……俺も綺麗事を吐けるような人間じゃなくなったからな」

「そうか……ならばいい。今後も私の邪魔をするなよ」

「ああ、わかっている。まったく、女はみんな心配性だな」

「……ふん」

 鳩美は踵を返して俺のもとへと立ち去ろうとする。

 何故鳩美が自らの本性をかくして、柔和な女の仮面をかぶっているのかは分からない。そもそも、興味すら無い。俺は俺の定めたルールに準じる事だけを考えて生きるだけだ。自分の精神の中にある一本の筋を守ることだけが、俺の人生の全てだからだ。

第6章へ続く
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by ginseiseki | 2010-01-05 10:06
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