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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 第5章 時を越えた邂逅 Act2

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。







 さらに先へと進むと、洞窟へと出た。

「黒霧さん! ミストラルさん! レヴィアさん!」

 そこには鳩美達が探していた者たちがいた。しかしどういう事か、声をかけてもこちらに気がつかない。

「黒霧、あそこにもいる!」

「敵性反応確認。排除開始であります」

「ちっ、なんだって今更SEEDが出てくるんだよ」

 ようやく鳩美達の存在に三人は気がつく。しかし、彼らの目には明らかな敵意が現れていた。

 ミストラルはアックス、黒霧はライフル、レヴィアはシールドとセイバーをナノトランサーから出してきた。

「どうしたと言うのですか?! 私たちはSEEDではありません!」

 理由は分からないが、三人は鳩美達の姿がSEEDに見えてしまっているようだ。

 迷っている暇はない、鳩美は武器の出力をスタンモードにして走り出した。

 同時に、ミストラルとレヴィアも走ってくる。黒霧はその場に立ち止まって、二人を援護するつもりなのだろう。

 襲いかかるアックスとセイバーの刃を避け、鳩美は黒霧に肉薄する。彼の持つブラックバルズが火を噴くが、鳩美は左手のシールドで銃弾を防御した。

「ちっ、なんて固いSEEDだ!」

 黒霧は優秀だ。まともに戦ったら無傷で勝つことは不可能だろう。しかし、相手が人間ではなくSEEDと戦っているつもりならば、勝機はあった。

 鳩美は黒霧の手首を狙ってウィップを振るう。光の鞭は見事ライフルをはじき飛ばした。

 予想どおりだった。黒霧はSEEDの幻にたしいて攻撃している。人間的な動きに反応していない。

 鳩美は手首を返して、ウィップを黒霧の脇腹に当てる。衝撃で地面を転がるが、彼はすぐに立ち上がった。

「なっ……鳩美?!」

 立ち上がった黒霧は鳩美の姿を見て驚いた。どうやら先程の衝撃で幻から目を覚ましたようだ。

 ちょうどレヴィアとミストラルもまた、エミリアやユートの攻撃を受けて正気に戻る。

「え? なんで鳩美やエミリアがここにいるの?!」

「おかしいであります。先程までSEEDの反応だったのが、突然鳩美達に変わったであります」

 原因はわからない。だが、同僚が正気に戻せたのは良かった。

「そうだったのか……俺としたことがとんだドジを踏んだもんだ。鳩美には借りが出来ちまったな」

「気にしなくても大丈夫ですよ。 それに、スタンモードとはいえ、貴方を攻撃してしまって申し訳ありません」

「いや、大丈夫さ。……だが、ちょいとばかし体が痛む。悪いがしばらく休ませてくれ」

 ひとまず黒霧達をその場に残し、鳩美達は残っているガーディアンズの失踪者を探しに行く。

「……」

 鳩美は今回の騒動について考えた。封印されたはずのSEEDが現れ、仲間は鳩美達をSEEDと勘違いした。何か作為的なもの感じた。

 その時、遠くから人の声が聞こえた。急いで向かってみると、数名のガーディアンズがいた。

「いったい、あの方たちは何を見ているのでしょうか?」

 ガーディアンズは何もない場所を怯えた様子で見ていた。彼らも黒霧達と同じようにSEEDの幻を見ているのだろうか。

 しかし、鳩美がそう思ったとき、SEED・アーガインをはじめとして、SEED・キャリガインなどの大型SEEDが現れた。

 まさか自分も幻覚の虜になったのか。そう思った鳩美だが、どうやらエミリア達も同じように見えているようだ。

 幻ではなかった。その証拠に、先頭のSEED・アーガインはガーディアンズ全員をはじき飛ばして、こちらに突進してくる。

 鳩美はウィップからセイバーに持ち替えて、突進してくるSEED・アーガインの頭めがけて投げる。

 セイバーはまっすぐ飛んでSEEDを仕留める。だが、まだまだ敵はたくさんいる。

 エミリアとユートは少しは成長しているとはいえ、SEEDとの戦闘経験が少なすぎる。その上、数も多く鳩美はフォローすることが出来ない。

 エミリアがバランスを崩して尻餅をつく。そこにSEED・キャリガインが鎌状の両腕を振り上げた。

 間に合わない。鳩美がそう思った直後、SEEDの体を一発の弾丸が貫いた。

「鳩美! さっそく借りを返しに来たぜ!」

 弾が飛んできた方向を見れば、黒霧がライフルを構える姿が見えた。体力を回復させて、追いかけてきたのだ。

「さぁ、暴れるよ!」

「援護攻撃を開始するであります」

 ミストラルとレヴィアもいた。

 シールドをもつレヴィアが敵の攻撃を受け流して、ミストラルのアックスが敵を攻撃する。

 三人の援軍のおかげで、戦況は有利に傾いた。全員が互いをカバーしつつ、一体一体確実に倒して行く。

「ぜぇ……ぜぇ……これ以上はさすがにカンベンして……」

 大きな戦いが終わると、その場にエミリアがへたりこむのは、もはや恒例行事となってきた。

 SEEDがふたたび現れるような気配はない。しかし、ユートは緊張を解かずに、洞窟の出口を睨みつけている。

「……感じる、まちがいない! あっちに、大地神さまがいる!」

 気絶したガーディアンズの介抱をルミアや黒霧達に任せ、鳩美とエミリアは走り出したユートを追いかける。

 洞窟の外ではユートがあの黒服の男と戦っていた。

「……ふん、また貴様たちか。どうあっても、私の邪魔をしたいらしいな」

「カーシュ族の村に始まり、クラッド6の襲撃も、そして今回の騒動もどうやら貴方が犯人のようですね」

「愚問だな。答える時間すら惜しいほどに」

 男の傲慢な表情は、初めて見た時とまるで変わらなかった。

「大地神さま、かえせ! それは、ユートたちの大地神さまだ!」

「大地神? レッドタブレットのことか? 何をバカなことを言っている。これはもともと、我々のものだ。『消え往く存在』ごときがこれを持とうなど……おこがましいにも程がある」

 その言葉で、鳩美は黒服の男が何者なのか確信した。

「その物言い……やはりあなたも旧文明の残滓なのですね」

 ミカがエミリアの体から現れる

「フン……出てきたな。愚かな裏切り者め」

「私たちの文明は終焉したのです。今この時代、この世界があるのは、ここに生きる人々の努力の結晶だれも、それを奪う権利はありません」

 ミカの言葉に対して、男は侮蔑の感情を込めて笑った。

「この時代に築かれし平和は、旧文明の遺産によってもたらされたものではないか! 我らこそ万物の創造主。必要なら奪い、不要なら捨てるまで」

 傲慢の権化が存在するのならば、まさにこの男のことを言うのだろうと鳩美は思った。

 確かに今の文明は旧文明の遺産を使ってSEEDを封印した。しかし、A・フォトンを使わずに封印すると言う、旧文明に出来なかったことをやってのけた。

 それだけではない。この世界をここまで復興させたのは今を生きる人間たちだ。鳩美は自分たちの世界を癒すのを人任せにした旧文明人達に、尊大な態度をとられたくなかった。

「旧文明の栄華が戻るそのときに、すべては消え往く運命にある! この身体に宿る、意識のようにな!」

「ならば私は……力ずくでも貴方を止める!」

「面白い……旧文明の支配者たるこの私には向かうつもりか? お前の宿主も、周囲の者どももボロボロではないか?」

 悔しいが、鳩美達は先程のSEEDとの戦いでかなり体力を消耗してしまった。

「よく、考えるのだな。旧文明の復活こそ……このグラールが選ぶべき道なのだ!」

 そう言い残して、男は雪山の銀世界の中へと消えて行った。

 その後、鳩美達はクラッド6へと帰還し、クラウチに今回の一件を報告する。

 エミリアは失踪事件の首謀者である黒服の男はインヘルト社となにか関係あると言った。

「……大企業を疑うっていうのはそのまま、敵にまわすって意味だぞ。わかって、言ってんだな?」

「……うん。あたしは、間違っていない」

「ハァ……なんつーか、申し合わせたようなタイミングになったな。……ウルスラ、言っちまっていいか?」

「ええ、構わないわ。決定事項だからね」

 鳩美達はウルスラから、リトルウィングの親会社であるスカイクラッド社が亜空間開発のスポンサーから降りることを聞かされる。他の企業も次々とスポンサーから降りているという。

 それは亜空間の発生が原生生物の凶暴化の原因になっているためだった。

 さらに、亜空間が生み出された際に、「周囲にいるヒトの思考が具現化」するという現象も確認されていた。


 思考が具現化という現象に、鳩美はあることに気がついた。存在しないはずのSEEDが現れたのは恐らくその現象だ。となると、インヘルト社に似たあの施設は、亜空間発生実験を行うためのものである可能性が高い。

 鳩美は気づいたことをクラウチとウルスラに伝える。

「たしかに、封印されちまった今となっては、その具現化現象を疑うのが可能性としては一番だろうな」

「形を残さず消失するという特徴も、具現化現象の報告にある通りだし、間違いないわね」

「その黒服のヤツが主犯格だろうから、捕まえられれば一気に解決しそうだが、まだインヘルト社とつながっている証拠は薄い。まずはその辺を探っていかねぇとな」

 新たな事件が起こったことで、ようやくクラウチが動き出した。これは大きな成果だ。

「おっさん……あたしの言うこと信じてくれるの? 証拠もないのに……」

 以前は必死に言っても信じてくれなかった。しかし、クラウチからはエミリアに対する確かな信頼が感じられる。

「おっさんも、ちゃんとあたしの話を聞いてくれたんだ……」

 リトルウィングの事務所を出て、エミリアはクラウチが自分を信じてくれたことに笑顔を見せる。

「なんだろう、この気持ち……よくわかんないけど……すごく、心地よいものだね」

 あの誕生日からエミリアの心にとってプラスに働く出来事が続いている。初めて出会ったときは、始末したくなるほど不愉快な人間であったが、今の彼女に鳩美は不快感を感じない。

 それから、鳩美はエミリアと別れて自室に戻った。ベッドに腰をおろして物思いふける。

 脳裏に再びあの傲慢な表情が浮かんできた。

 黒服の男は今の文明を「消え往く存在」といった。ならば旧文明は「消されなければならない存在」であると鳩美は考える。

 あの傲慢な顔を恐怖に染めて抹殺する。鳩美は静かな怒りを胸に強く誓った。

 

 幕間へ続く(オリジナル展開注意)

友情出演:Mistralさん
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by ginseiseki | 2010-01-04 11:40
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