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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 第5章 時を越えた邂逅 Act1

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。






「よう鳩美。この間はお手柄だったじゃないか」

 その日の仕事を終え、自室に戻る途中に同僚の黒霧翔に声をかけられた。目の前のヒューマンの男はかつて一度だけ会ったことがあり、リトルウィングで唯一鳩美の本来の姿を知っている者だった。

 幸いにも口の堅い男で、鳩美の秘密は守られている。

「鳩美もそうだけどエミリアもすごいよねー、初めはあんなに仕事を嫌がっていたのに」

「彼女の成長は私の予測外であります。不可解であります」

 黒霧の他にもビーストとキャストの女がいた。天真爛漫なビーストがミストラル、少し変わった敬語を話すキャストがレヴィアだ。

「その様子ですと、これからお仕事ですか?」

「ああ、三人でモトゥブにな。まったく、クラウチは人使いの荒いおっさんだぜ」

「しかし、それに見合った給金は支給されているであります」

「わかっているさ。……じゃそろそろいってくる」

「ええ、お気をつけて」

 そうして鳩美は仕事へと向かう三人を見送る。しかし、それが後にあのような事件になるとは、このときは思いもよらなかった。

そして、翌朝。出勤時間が近くなると、エミリアが鳩美の部屋に訪れた。

「うーっす、おはよー! 今日も一日がんばっていこーね!」

 エミリアは朗らかな顔で鳩美の部屋を訪れてた。誕生日からと言うもの彼女は常に上機嫌だ。正直なところ、鳩美はそろそろウンザリしてきた。

 しかし、ミカはそうではなく、エミリアの喜びを自分の喜びのように感じている様子だった。

「そういえば……どうしてミカは、あたしたちに協力してくれるの?」

「私にとって、貴方たちは息子でもあり、娘でもあり、孫でもあり……なにより、家族であるからですよ」

 鳩美はミカの目をみる。明らかな嘘を付いているようには見えない。もっとも、彼女が自分と同じように、本性を完璧に隠せる者ならば話は違うだろうが……

 ミカはヒューマンは自分を器に造られたのだと言う。恐らくクローニングの一種で、ミカの遺伝子をもとに造られた人工人類がヒューマンなのだろう。

「おーい! 二人ともー! ……ミカのにおいもするな? じゃあ、三人ともー!」

 今度はユートが入ってくる。話題が彼がいった「ミカのにおい」にうつる

 ミカ本人によると、それは旧文明時代にあった「テティの花」の香りだと言う。彼女が好きな花らしい。

「それよりユート君、私たちに何か用が会ったのではないですか?」

 どうやらクラウチが呼んでいるようだった。事務所に行ってみると、彼は鳩美達にニュースを見せる。

 報じられている内容は、各地で謎の失踪事件が発生しており、発見された失踪者はみな失踪時の記憶を失っていると言う。

「この前、ウチに侵入してきた襲撃者たちがいただろ? あいつらも失踪者だった。襲撃時の記憶が無い点もまったく同じだ」

「つまり、カーシュ族の村を襲撃した事件と同じと言うことですね」

 あの黒服の男が他人を操り何かを企んでいる。証拠は何もないが、その可能性は高い。

「……それと申し合わせたように、一つ、マズイ事が起きている。黒霧、レヴィア、ミストラルの三人が失踪した」

「あの方たちがですか!?」

 クラウチの言った三人はリトルウィングの社員だ。鳩美も面識がある。そして、彼らが失踪したと言うことは……

「失踪者は、犯罪に従事させられる可能性がある」

 ウルスラが鳩美の危惧していた事を口にする。たとえ操られたとしていても、社員が犯罪に荷担してしまうのは、会社としては致命的だ。

 クラウチは消息地点を把握しているものの、自由に行動できるのは鳩美達しかいなかった。

 鳩美達は彼らが失踪した場所、モトゥブの雪山へと向かう。

「うー、寒っ! よりにもよって、こんなところで失踪しないでほしいんだけどーっ!」

 雪山の容赦ない寒気に、エミリアは体を震わせている。

 その時、誰かが近寄ってきた。

「……こんな雪山の中で騒いでいるから誰かと思えば、あなたたちだったのね」

 その誰かはルミアだった。奇縁か、はたまた腐れ縁か。またしても彼女と出会う。そして、エミリアはまたしても彼女に対して、以前ほどではないが敵意を見せる。

「行こ、二人とも。こんなやつに構ってるより、失踪した社員を早く探さないと」

「……『失踪』ですって?」

「ええ、そうなのです。ルミアさんはリトルウィングの社員を見かけなかったでしょうか?」

 鳩美はルミアに失踪した三人の人相を伝えるが、残念ながらルミアはしらないと行った。

 しかし、ルミアはエミリアから失踪という言葉を聞いて、様子がおかしくなっていた。いきなり、ここは危険だから同行すると言ってきた。

(まさか……)

 もしも鳩美の予想が正しいのならば、ルミアという戦力は無駄にはならない。エミリアの抗議を無視して、鳩美は彼女の同行を受け入れることにした。

「ユート君、どうかしましたか?」

 これから向かう先を、ユートは嫌な予感がすると言って睨んでいる。鳩美は前のアルテラツゴウグのことを思い出す。ここはユートの予感を信じて、用心した方が良いだろう。

「これ、三年前のと同じ……? ううん、ちょっと違う……なんだこれ……?」

 一行は失踪者を探すため、雪山を進む。その道中で、ユートの感じた気配の主が現れた。

 およそまともな生命とは思えない姿。まるで、悪夢に現れるような恐怖が形を持ったかのようなそれは、三年前にグラールを襲ったSEEDだった。

「ちょっと、SEEDフォームが出てくるなんて聞いてないわよ! どうなってるのか説明しなさいよ」

「私に聞かれてもわかりません! でも、たしかにSEEDは三年前に封印されたはずなのに」

 エミリアは適当な封印をしたと、ガーディアンズを罵る。しかし、生き残りのSEEDがいたと言うのならば、なぜ三年前から今まで発見されなかったのか。

 だが、疑問に思ったことを考えるのは後回しだ。SEEDは鳩美達を見つけると一斉に襲いかかってくる。

 鳩美は手近なSEEDへ攻撃する。その時、ウィップから伝わってくる感触に違和感があった。その上、倒したSEEDの死骸はまるで煙のように消えてなくなる。謎は深まるばかりだ。

 SEEDと共に襲いかかってくる原生生物と闘いながら、鳩美達は捜索を続ける。

「ちょっと待って」

 エミリアが制止の声をあげる

「そこの壁なんだけど……なんかおかしくない?」

 エミリアは何の変哲もない岩肌を指さす。

「あ、やっぱり! この壁、うまくカムフラージュしてるけど、投影されたホログラフだ!」

 エミリアが岩肌に腕を入れて、それがまがい物であることを証明する。

「色彩パターンのズレが妙に論理的じゃん。ま、これだけ情報密度が高いホログラフだと、電波の途絶が起きてもおかしくないけど……となると、失踪者はこの奥かな?」

 エミリアはホログラフの岩肌を見ながら、ぶつぶつとなにか呟く。

「急に人が変わったように……あの子、一体なんですか?」

「私にもよくわかりません。でも、凄い子ですよ」

「そう……かもしれませんが、凄いと言う言葉だけでは片付かないほどの分析能力は、なぜ……」

 確かにエミリアの分析眼は凄まじいものだ。彼女の人格と大きなギャプのある力だが、鳩美にとっては生まれ持った才能であろうと、なにか理由があって獲得した能力であろうと、知ったことではなかった。多少興味があるのは確かだが、重要なのはエミリアが傭兵として働く上で、それが役に立つかどうかだ。

 鳩美達はホログラフで隠された道を進む。初めはただの洞窟だったが、次第に人工物が増えていった。何者かが作った施設であるのは間違いない

 その時、またしてもエミリアの分析眼が力を発揮した。施設内にあるフォトン供給のロジックパターンがインヘルト社の構造と同じだと言う。

 ここはインヘルト社が関わっているのだろうか。しかし、鳩美がそれを断定するにはまだ判断材料が少ない。

 さらに先へと進む鳩美達だったが、彼女たちの前にマシナリーが立ちはだかる。ローグスがよく使う機種だが、荒くれ者が使っているのとは比べものにならないほど、丁寧に整備されている。

 現れたマシナリーを全滅させ、鳩美達は周囲の安全を確認した後に、装備を再チェックする。

「どうやら、よほど他人に見て欲しくないようですね」

「そのようね……調査班の反応も全部ここで途切れているし……やはり、この奥に失踪のヒミツがあるとというの……」

「調査班の反応が途切れた……やはりガーディアンズの方も失踪されているようですね」

「う……」

 ルミアがうっかり漏らした言葉から、鳩美は自分の予想が正しかったことを知る。

「そっか。……リトルウィングとかだけじゃなくて、ガーディアンズでも失踪者出ているんだ。ま、調査しているヒトが行方不明になるとか、ちょっと大声では言いにくいよねぇ!」

 エミリアはありったけの嫌味を込めて言う

「エミリアさん、失礼ですよ!」

 鳩美はすぐにエミリアをたしなめて、ルミアとの口論が始まってしまうことを防ぐ。

「はぁ……やれやれ」

「鳩美、おまえつかれているのか?」

「大丈夫ですよ、ユート君……はぁ……」

 優れた頭脳を持っていても、エミリアは所詮子供。ルミアもそこそこ経験を積んでいるようだが、それでもまだ足りない。一体いつになったら自分は子守から開放されるのかと、鳩美は憂鬱な思いだった。


 Act2へ続く
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by ginseiseki | 2010-01-03 17:21
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