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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 第4章 ハッピー・バースデイ Act3

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。

 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。






 少々時間を浪費してしまった。鳩美達は急ぎ足でグラール教団の施設へと向かう。

 施設の入り口は原生生物に侵入されたわりには、破壊された形跡がない。単純に、ここだけが無事だったのかもしれなかった。

 鳩美の予想は当たったようで、少し進んだら大量の原生生物が押し寄せてきた。

「エミリアさん! ユート君! ここは私が引き受けます。お二人は一度入り口まで戻ってください」

 鳩美は二人を下がらせる。敵がここまで多いと、さすがにフォローしきれないからだ。一人で戦った方が良い。

 鳩美はウィップを振るって先頭の敵を叩きのめす。しかし、原生生物はまだまだ大量にいた。

(少しきついか? だが、やるしかあるまいか)

 そんな時、背後から誰かが走ってくる足音が聞こえてきた。エミリアかユートが指示を無視して戻ってきのか。しかし、振り向いてみると、ガーディアンズの制服に身を包んだ、栗色の髪の少女だった。

 少女はGRM製のロッドを振るって、ラ・フォイエを放つ。爆炎が数体の敵を吹き飛ばした。若いが強力なテクニックの使い手だ。

 思わぬ援軍だが、鳩美は少女と協力して、大挙して押し寄せてくる敵と戦う。一通り始末した頃には、エミリアとユートも様子を見に戻ってきた。

「……ここは退避勧告が発令されています。速やかに施設外へ移動してください」

「いえ……私達は侵入した原生生物の討伐を依頼されているのです」

「何だ、傭兵か」

 こちらが傭兵だと知ると、彼女はあからさまに見下す表情になる。小生意気なその顔に、拳を叩き込たい衝動を必死に押さえて、鳩美は笑顔を作る。

「むっ……! あんたこそ、どこのどいつなのよ」

 自制心がまだ弱いエミリアはガーディアンズの少女に食って掛かる。鳩美は止めようとしたが、一歩遅かった。

「私は、ガーディアンズ総合調査部所属、ルミア・ウェーバー」

 彼女はこの施設に閉じ込められてしまった者たちを助けるために来ていた。

 ウェーバー。そのラストネームは有名だ。もしかしたら”あの男”の身内かもしれないと鳩美は思った。

 ルミアがガーディアンズということもあってか、エミリアの彼女に対する敵意はより一層強くなる。やはり、なにかガーディアンズに恨みでもあるのだろうか。

「……もしもし、おっさん、聞こえてる? あたしたち、任務変更するから! この施設の奥に閉じ込められているヒトたちを助けに行ってくる!」

 エミリアはあろうことか、勝手にクラウチヘ任務変更を伝える。当然クラウチは本来の依頼はどうするのかと言うが、彼女は実験装置を守りながら助けに行けば良いと言い返す。

「……どいういうつもり?」

 ルミアの言葉に鳩美は内心同意した。エミリアの行動は明らかに彼女に対する挑発だ。

「……人助けとか、そういう重大なコトをガーディアンズのヤツなんかに、任せて入られないってことよ」

 自分の実力を棚にあげて、エミリアはガーディアンズの能力を過小評価する。

「意味の分からないことを……わかったわ、もっと貴方にも理解しやすく言ってあげる。……力のない人は去りなさい」

「ほーら、本性が出た! ガーディアンズはいつもそう! 上から目線よね!」

「エ、エミリアさん。流石に彼女に失礼ですよ」

「あんたは黙っていて!」

 馬鹿がこれ以上話をこじれさせるなと鳩美は叫びたかった。しかし、自分が激昂すれば、状況は致命的になってしまう。

「そういえば、ウェーバーってどこかで聞いたことあるなっておもったけど、ようやく思い出したわ! あの英雄イーサン・ウェーバーでしょ。あんたはその関係者ってわけね!」

 イーサン・ウェーバー。おそらくはグラールの多くのものが知っている名前だ。SEEDの巣窟であるHIVEに初めて生きて帰ってきた人間。その後も、「幻視の巫女」や「ガーディアンズのエース」と共に、ダークファルスを討伐した英雄だ。

「ふん、どうせガーディアンズにいるのも、イーサンの七光りだったりするんでしょ? そんあのに実力どうこう言われたくないわ」

 エミリアの言葉はもはや完全に言いがかりだ。

「兄さんは関係ない!」

 先程まで冷静だったルミアだが、エミリアの言葉が逆鱗に触れてしまったようだ。

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」

 鳩美は二人の間に入ってなんとか落ち着かせようとする。戦場での口論ほど無益な行動はない。

 なんとか、ルミアが鳩美達に随伴して救出活動するという妥協点に落ち着いた。

 仕事は最悪だった。二人の間にある不和のせいで、エミリアだけでなくルミアすらも足手まといになっていた。だが、それでも装置を守りきれたのは、鳩美に取って不幸中の幸いだった。

「……不気味ね。この辺りにはもう原生生物の気配が無いのに、どうして皆、脱出しようとしないの……?」

「……いやな風がふいてるぞ。この奥から、すごく強く……」

 装置防衛の仕事は終わり、あとは救助者を助けるだけだ。しかし、ユートがなにかの気配を感じ取っているのか、要救助者がいると思わしき方向を睨みつける。

 その時、壁を破壊して、双頭を持つ白い鱗の巨大な龍が現れる。。

「ア、アルテラツゴウグ! 教団所有の実験生物が、こんなところで暴れているなんて……最悪!」

 話だけならば目の前の敵のことを鳩美も知っていた。たしか、グラール教団がニューデイズの国防のために開発した生物兵器と聞いている。

「貴方たちまで戦う必要はありません。任務は達成したはずです、去りなさい」

「おひとりでは勝ち目がありませんよ」

 鳩美はルミアの横に立つ。目の間に敵がいる。鳩美が逃げる理由なの何一つ無い。

「私はガーディアンズです。目の前に助けを求めている人がいるのに、逃げたりすることなんて、できない」

「素晴らしい心構えです。ですが少々無謀では?」

「無謀でもやらなければならないんです。私は……あの、英雄イーサンの妹なんだから、このぐらいやって、当然なんだから……!」

 鳩美がルミアを見たとき、焦っているように思えた。自分の背後に見え隠れする、兄の影を消し去りたくて必死なのだろう。

「あーもう! めんどくさいヤツ」

 憎いガーディアンズであっても、無謀な戦いに挑もうとする者を放ってはおけないのか、エミリアも戦う意思を示した。

 ここに来てようやく即席パーティーは、初めて機能することになる。ルミアとエミリアがテクニックで牽制しつつ、鳩美とユートが攻撃をする。

「ユート君! あわせてください」

「おお!」

 鳩美が氷のを、ユートが炎のミラージュブラストを放ち、アルテラツゴウグの双頭をそれぞれ攻撃する。頭を二つとも失った白き聖獣は、その巨体をぐったりと倒れさせた。

 戦いが終わり、エミリアはいつものように疲労で座り込む。

「貴方、名前は?」

「……エミリア、エミリア・パーシバル」

 共に強大な敵に立ち向かったことで、ルミアとエミリアにある不和は、少し解消されたようだった。少なくとも、敵意のみをぶつけ合うような剣呑さなもうない。

 鳩美達は仕事を終え、クラッド6へと戻る。すると、帰ってきたとたんに、エミリアは社長室へと呼び出された。

 命令違反をしたのだから怒られる。エミリアはそう思っているようだ。しかし、彼女を出迎えたのは怒声ではなく、クラッカーの軽快な破裂音だ。

「え、な、なに?」

「エミリアさん、誕生日おめでとうございます」

 チェルシーの企画したサプライズパーティーはこの上なく成功したようだ。その証拠に、エミリアはまるで白昼夢を見ているような表情をしている。

 命令違反をしたと思っていたエミリアだが、クラウチは依頼を達成した上でガーディアンズに協力したのだから筋は通っていると、逆に彼女を褒めた。

 さらに、ガーディアンズ総裁から直々の礼の言葉までも送られていた。エミリアを嫌っているように見えたルミアだったが、少なくとも彼女の働きを上司に報告する程度は理解しているようだ。

「ほら、こいつを受け取れ」

 クラウチはエミリアに小箱を渡す。中身は羽を象ったイヤリングだ。しかし、渡された本人は、しばらくそれが誕生日プレゼントだとわからず、贈り主に言われてようやく理解する。

「……あ、おっさん! その胸元にあるアクセサリー! その、ネックレスって……あれだよね。捨てたんじゃなかったの……」

 クラウチの胸には確かにエミリアが買ったアクセサリーがあった。本人は誰もいらないようだから貰ったと言っているが、照れ隠しなのはバレバレだった。

 エミリアはイヤリングを付けて大きく喜ぶ。それは大切な人から贈り物を受け取った時の喜びだ。口では悪くいいつつも、彼女に取ってクラウチは大切な存在であることを物語っていた。

 第5章へ続く
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by ginseiseki | 2009-12-30 20:13
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