銀星石のブログ

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銀星石のエッセイブログ

PSPo2ロールプレイ 造られた『希望』 Act1

注意
 このブログ記事にはファンタシースターポータブル2のネタバレが含まれています。
 
 また、ファンタシースターユニバースシリーズにおける、私独自の世界観の解釈も含まれています。








 カーシュ族村襲撃事件の翌日。落ち着いたエミリアはミカの話すことを真実として信じた。

 しかし、問題はどのようにして復活計画を潰すかと言うことだった。わかっている事はせいぜい、亜空間開発を勧めれば敵の思惑が達成されてしまうと言うことだけだった。

「まずはクラウチ社長に相談してみてはいかがでしょうか?」

「おっさんに? ……どうせ信じてくれないよ。……まあ、それでも一応あたしたちの上司なんだし、話しておいたほうがいいのかな……」

 事はグラール全体に過かわることだ。個人レベルでは出来ることなど限られている。とりえあえず理解者を増やすということから始めるべきだと鳩美は考えた

「チェルシーさん、いらっしゃいますか?」

「ちょっと待ってネ。今、お客さんのお相手中ヨー」

「お客さんですか?」

「よお、また会ったな、鳩美」

「エミリア、元気そうでよかった」
 
 リトルウィングの事務所に行ってみると、クロウドッグで出会ったビーストの傭兵夫婦が、入社手続きをしている最中だった。

 なんでも、あの時逃げ出した者たちを追いかけている時に、クラウチに出会い、スカウトされたらしい。

 リィナが「元ローグス」であったため、何処の会社にも入ることができなかったため、渡りに舟と二人はスカウトを受け入れたというのだ。

「そういえば、あのカーシュ族の子は?」

 リィナがあのニューマンの少年の安否を聞いてきた。鳩美はまだ眠ったままだが、そろそろ目を覚ますかもしれないと伝える。

「それじゃ、また後でな。それと、クラウチなら奥にいたぜ。さっき会ってきたところだからな」

「ええ、それでは」

 リマ夫妻と別れた鳩美とエミリアは社長室へと向かう。そこではクラウチが鼻の下を伸ばしながらグラビア雑誌を読んでいた。

「クラウチ社長、少々お時間をいただけないでしょうか?」

 鳩美はクラウチの色欲にまみれた脳に、ハンドガンで風穴を開けたくなる衝動を必死にこらえながら、いつもの微笑を作る。

 ミカから聞いた話をクラウチに伝えようとしたが、それよりも先に、彼は得意先のインヘルト社から、逃げ出した研究用の原生生物を討伐してほしいとの依頼が来たと言い出した。

 エミリアが必死に復活計画について伝えようとするものの、クラウチはそれを無視してインヘルト社からの依頼の話を勧める。

 クラウチにしてみれば単なる怠け者の小娘でしか無いエミリアが、いくら声を張り上げても信用してはくれない。

 何よりも彼女の話は直球すぎた。証拠のない現状では、亜空間の危険性をほのめかす程度にとどめておかなくてはならない。あまりに突拍子もない話に、クラウチの目はどんどん疑いの色を強めていく。

それでもなお信用させようと、エミリアはミカを呼び出すが、ミカの姿は鳩美とエミリア以外は見ることができなかったために、ますます信用されなくなってしまった。

「ったく、エミリアにお前をつけたのは失敗だったか? よりひどくなっているぞ。どういうことだ、ああ?」

「申し訳ありません」

 相手を信用させるという意味では、大きな悪手をうってしまった。鳩美は謝罪の言葉とともに頭を下げる。

「この世に謝ってすむことなんざ、ほとんどねえよ。相応の働きで返せ」

 クラウチの言葉は腹が立つくらい正論だ。

 そして、厄介払いとして仕事を押し付けられ、トニオとリィナとともに鳩美とエミリアは、依頼のあったインヘルト社へと行くことになった。

 マイシップに乗り込んだ鳩美達はパルムへと飛び立つ。

 現地に到着し、インヘルトの社員の案内で、原生生物が暴れている区画へと向かった。

「……あーあ、あれでおっさんには、完全に愛想をつかされちゃっただろうなぁ」

 しかし、一つ問題が発生した。出発する前にあった騒動でエミリアは未だ落ち込んだままだったのだ。

「そんなことはないですよ、エミリアさん」

 これでは仕事にならないので、鳩美は仕方なく彼女を慰める。実際、「自分の体には道の存在が宿っている」などという妄想は、思春期の子供にはよくある事だ。

「どうやって信じてもらえばいいんだろ……」

 相手に信頼してもらうにもそれ相応の条件がある。先の一件で精神的に少し傷ついたエミリアだが、信頼がどのようなものか考える良い機会にはなっていると、鳩美は思った。

「……なんだかよくはわからねぇが、何かミスしたってんなら、仕事とかで取り返せばいいだろ」

 見た目は子供でも、トニオは経験を積んだ大人だった。新米が何をいっても最初は取りあってもらえない。だが努力すればいずれ協力してくれる。実にシンプルだ。

「……そうかな? 頑張ってれば、みんなも、おっさんも信じてくれるようになるのかな……」

「ええ、そうですよ」

 鳩美は笑顔を浮かべる。しょせん表情の仮面に過ぎないが、エミリアに安心を与えるには十分だったようだ。

「そうそう、元気出していこうぜ。お前達なら、信用なんてすぐに勝ち取れるだろ。元『ガーディアンズ』教官の俺が保証してやるよ」

「……え? トニオ、ガーディアンズだったの?」

 笑顔を取り戻しかけたエミリアだが、トニオがガーディアンズだったということを聞いて、その表情が暗くなる。

「エミリアさん?」

 声をかけてみるが、エミリアは無言のままだった。エミリアとガーディアンズの間に、なにか因縁があるかのように思えるが、今はそのことを追求する時ではなかった。

 雑談を切り上げ、仕事に入る。

 逃げ出した原生生物の中には、アスタークと呼ばれる、SEED事件の際に発生した新種がいた。

 SEEDの影響で突然変異した新種生物は他にもいるが、中には生物の常識から逸脱した攻撃をするのもいる。普段以上に油断できなかった。

 しかし、そんな状況でもエミリアは健闘していた。クロウドッグの時は本当に足手まといであったが、仕事に対する心構えが変わったおかげで、彼女に成長の兆しが見えてきたからだ。

「しっかし、この警報は何で鳴りやまねえんだ?」

 逃げ出した原生生物はほとんど始末したが、不思議なことに警報はいまだ鳴り続いていた。インヘルト社側に討伐完了の連絡はまだだが、監視カメラなどでこちらの状況はわかっているはずだ。

「ああ! リトルウィングの方ですね! よかった、お待ちしていたんですよ!」

 その時、インヘルト社の職員が血相をかえて走ってきた。依頼はすでに達成したと言ったが、彼の表情は変わらない。

 職員によるとインヘルト社も原生生物の鎮圧のために、警備マシナリーを動かしていたのだが、今度はそれが暴走したらしい。一難去ってまた一難とはまさにこのことだった。

「あの、マシナリーってどんな種類のがあったの?」

 エミリアの質問に職員は答える。暴走したのはGRM製のマシナリーで、複数の機種が暴れているらしい。

「もしかして、リーダー的なのがいない?」

「は、はい。最新鋭の『レオル・バディア』が試験稼働していますが……」

「やっぱり? たぶん、そいつの制御装置が壊れている。そこから飛ぶ混戦命令で、全マシナリーに影響が出ちゃってるんだと思うよ」

「な、なるほど!」

「…………」

 エミリアと職員のやりとりを鳩美はじっと見ていた。海底レリクスとクロウドッグ。そして今回。エミリアは十六歳の少女とは思えない知能をまたしても見せた。

 エミリアは過去を語ろうとはしない。その過去が、この知能に結びついているのかと鳩美の中での疑問が大きくなる。

「この先は、グラール中の悲願でもある、亜空間発生装置の開発が行われている場所です。なんとか、鎮圧をお願いしたく……」

「亜空間発生装置……? この下で開発しているの?」

「は、はい。ですから、この施設を放棄するわけにはいかないのです。マシナリーの鎮圧、お願いできないでしょうか?」

 職員が懇願するようにこちらを見てくる。どんな子とがあっても、亜空間発生装置を守りたいと言う願いが伝わってくる。

「分かりました。追加の依頼としてなら承りましょう」

「ありがとうございます! レオル・バディアさえ止めれば暴走は止まります。よろしくお願いします!」

 職員の表情が明るくなる。鳩美達はマシナリー討伐のために、インヘルト社のさらに奥へと進む。


 Act2へと続く
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by ginseiseki | 2009-12-22 11:28
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